彼はティッシュで鼻をかめない

ガムをかむ方法をABA(応用行動分析)の手法を使って息子に教えているという話を以前書きましたが、もっと難しくて手付かずのものがありました。ティッシュで鼻をかむことです。息子はまだできません。

 ちなみに現在、家庭療育で力を入れているのは、1年生の国語の教科書に出てきた漢字を全部覚えることです。
 会話のスキルは2歳半ぐらい(推定)ですが、文字の読み書きは好きなようですので、得意な方を先に伸ばしていこうという方針を取っています。もっとも、ABAの療育は妻がすべてやっていますので、ぼくは聞いた話をここに書いているだけではあります。

 妻によると、「ティッシュで鼻をかむ」という動作の教え方は、「つみきの会」のテキスト「つみきブック」に記載がないそうです。
 必要に迫られれば妻が自己流で教えるかセラピストの先生にご相談することになると思いますが、わが家の療育における優先順位はまだ低いようです。

 優先順位が低い理由は、息子がめったに風邪を引かないからです。今冬はまだ風邪を引いていませんし、風邪を引いて発熱して寝込んだことは、これまでの彼の8年1カ月強の人生の中で3回ぐらいしかありません。

アラブのゲリラが乗るトヨタのトラック
写真=出典:livedoor.blogimg.jp こんなイメージです(笑)

 2年前の冬、ぼくと妻が人生初のインフルエンザにかかった時も息子は平気でした。ぼくは以前から「アラブのゲリラが砂漠で乗り回しているトヨタのトラック」と形容しているのですが、とにかく頑丈なんです。

 そんな息子でも、鼻水が出ることはあります。そういう時は、①垂れてきたらティッシュで拭く②ティッシュをこよりのようにして吸収するーという対処はしております。

 で、「鼻を『フーン』ってしてごらん」と言って促してみるのですが、彼は「フーン」と真似して言うだけで鼻水は出てきません。
 まあ分からないよね。「鼻をかむ」という動作を言語化するのは、「ガムをかむ」動作より難しいでしょうから。

 鼻はかめないのですが、鼻水が出そうになると息子はティッシュを持ってきて自分で鼻を拭くようになりました。これだけでも大きな進歩です。

 「思いっきり鼻をかめばスッキリするのになぁ」と見ていて思うのですが、まあこのままでも生活に支障はなさそうだし、いいのかなという感じです。大量に鼻水が出るような症状の風邪を聞いた時にちゃんと教えればいいか、と。

 「鼻をかむ」問題に対して妻もぼくもこの程度のスタンスなのですが、息子は鼻をかむことはできないくせに、「鼻をかむ」という言葉に敏感に反応するようになり、今ではお気に入りの「悪ふざけ」のレパートリーに入ってしまいました。

 どういうことかといいますと、妻やぼくが咳やくしゃみをすると、ティッシュを持ってきて「ママ(とと)鼻かむー!」と言いながらティッシュを鼻に押し当ててくるのです。

 これだけの説明ですと、「障害がありながら自分ができることを一生懸命やって両親の役に立とうという殊勝で心優しい子ども」のようですが、そうではありません。
 単に、ティッシュボックスからティッシュを抜き取る動作と、両親の反応を見るのが楽しいだけなのです。

 そもそも妻もぼくもあまり風邪を引きませんので、「活躍」の機会が少なくてつまらなかったのかもしれません。しばらくすると、咳やくしゃみをしなくてもティッシュを1枚抜いて持ってくるようになりました。もちろん、やめるように注意はします。

(ティッシュを手に近づいてきて)とと鼻かむー!

ととは鼻水が出ていないので、鼻をかみません

と・と・は・な・を・か・み・た・い!

ととは風邪を引いていないので、鼻をかみません

(別のティッシュを手に再び近づき)ゴホゴホゴホ。とと鼻かむー!

…(そう来たか)

 相手が咳やくしゃみをしていなくても、自分が咳をすればOK、というマイルールを勝手に作っちゃったのです。
 でも、その際に息子は無理やり咳をするので、むせたり声が変になったりしています。そんなところで体を張るのはどうかと思います。控えめに言っても、アホです。

 親のことはいいので、まず自分で鼻をかめるようになってほしいものです。

 妻からの受け売りですが、ABAの療育には、「強化」「消去」という概念があります。ざっくり言うと、強化は、望ましい行動を取った際に褒めて次も同じ行動が出やすいようにすることで、消去は、消したい問題行動を取った際にスルー(無反応)してやり過ごすことです。
 ティッシュの一件は問題行動ですので、消去するのが正しい対処法なのですが、妻とぼくがうまくスルーできず(面白い反応をしてしまったため)、強化されてしまったのだと思われます。でもまあ、害のない悪ふざけですし、すごくうれしそうですので、とりあえずはよしとします。

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