「No FC」というCheeさん(Saltbox)の呼び掛けに賛同します

いきなり「FC」と言われても何のことかピンとこない方も多いと思います。ぼくは一昨日まで知りませんでした。

 「ファシリティテッド・コミュニケーション」(Facilitated Communication)の略で、介助者(Facilitator)を経由して行うコミュニケーションのことです。聞いたこともなかった用語です。

 米国在住で「Saltbox 自閉症&自由ブログ」を運営されているCheeさんのツイートで初めて目にしました。

 ぼくが妻とこのブログを始めようと思ったのは、Cheeさんのブログを読んだことがきっかけでした。

 自閉症児の子育てを扱っているブログはたくさんあります(にほんブログ村「自閉症育児」カテゴリーで1057サイト=2021年4月28日現在)が、Saltboxほど前向きで自由でユニークなブログに出会ったことがありません。

 そういえば、過去にもCheeさんのブログから引用して記事を書いていました。

 この時は自閉症児の療育と関係ないテーマでした。ちなみにわが家のビクトリーガーデンは、ことしも順調に進んでいます。

 FCの話に戻ります。Cheeさんのブログから引用します(蛍光マーカーは筆者)。

「僕が跳びはねる理由」映画が公開されたみたいですね。
全く…自閉症啓発デーに、思いっきり、自閉症者の人権脅かす疑似科学、FC(ファシリテイテッド・コミュニケーション)ネタ出してくるとか…、
さすがだぜ。日本!
マスコミは平気で肯定記事書いちゃうし。
専門家の皆さんは、なんでみんなダンマリなんですか?
ビビってる?

Saltbox 自閉症&自由ブログ「『僕が跳びはねる理由』で迷惑している件!」より

90年代、米国ではFCにより事件が起き始めました。
障害のある高校生がFCを通して、自身の親が性的虐待をしていると訴えたのです。それにより両親と子供が引き離されるところまで行きました。

そこで、コミュニケーション開発スペシャリストのハワード・シェーン氏が当時のFCの介助者(ファシリテーター)であったジャニス・ボイントン氏(Janyce Boynton)をテストしたのです。結果FCは介助者の声であることが判明しました。ここからFCに対し、大変な議論が巻き起こりました。

Saltbox 自閉症&自由ブログ「FC肯定映画が教育に悪い理由」より

近年、介助者が隣にいる形で文字盤やキーボードを使うタイプのFC、ファシリテイテッド・コミュニケーション(介助付きコミュニケーション)がメディアでよく見られるようになっています。そのメソッドは個人もしくは企業が広めているものがほとんどで、障害者自身の声であるという裏付けが無いものです。医療機関や教育機関が認めるようなものではありません。

残念ながらそういった介助者の声で作られた書籍やエッセイなどが「障害者の声」として世間で扱われております。またそれを報道する者が、映像編集で介助が見えないようにしたり、明らかに体に触れてトレーニングしていた部分を伝えないなど、視聴者の誤解を促すような部分が見受けられます。

Saltbox 自閉症&自由ブログ「No FCにご協力ください。」より

 長い引用になってしまいました。申し訳ありません。

 ここで下手な要約をするより、Cheeさんのブログでこれら3本の記事をぜひお読みください。

 ぼくがFCについて知ったのは2日前ですが、疑似科学(エセ科学)については、もともと関心がありました。

 大学時代に指導教官が「科学技術論」と題した講義で「エセ科学がなぜ普及し信じる人が出てくるのか」というテーマをたびたび扱ってくれて、当時はその手の本を探して読んだり調べたりしていました。

 昔だと常温核融合、近年ですとSTAP細胞の騒動が有名です。

 興味がおありの方には「人はなぜエセ科学に騙されるのか(上・下)」(カール・セーガン著、新潮文庫)をオススメします。非常に面白いです。

 卒業後はエセ科学のことを忘れていたのですが、息子に自閉症という診断名が付き、STAP細胞の論文が発表された2014年1月、急に思い出すこととなりました。

 妻とぼくに診断名を告げたドクターは、「ネットや本にはウソの情報があふれている。読まない方がいい」と助言してくださいました。

 そのころ妻は「この先生の言うことだけを信じる」というスタンスでしたが、ぼくはエセ科学に対する耐性があるという自負から、ネットや本から自閉症を巡る情報を膨大に集めまくっていました。

 いやぁ、出てくる出てくる、うさんくさいのがいくらでも。

 「障害者の親」界隈にいると、怪しい健康食品やら、やたら高額の情報商材を扱う自己啓発セミナーやら、実在するか不明な医学博士が唱える画期的な治療法やら、名前を売って金儲けしようとする当事者家族やら、強引な勧誘などが社会問題となったことがある新興宗教やらと、いかがわしいものがこんなに寄ってくるんだなぁと。

 新興宗教の勧誘を受けた話は過去に書きました。

 東田直樹さんのことも当時知りましたが、興味が湧かず、エセ科学について学んだ経験から、他の「奇跡の障害者」系と同様に「面倒なので近寄らないでおこう」という扱いにしていました。

 東田さんの活動を巡っては、当時から疑義を呈する指摘がありました。

 一方で、そうして指摘に対する激しく感情的な「攻撃」がたくさんあることも知りました。

 必死で生きている「弱者」である「障害者」を疑うとは、なんて心が狭い人間なんだ、と。

 STAP騒動でも似たような雰囲気になっていました。

 「あの人がインチキをするわけない」「頑張っている人を批判するのはかわいそう」「何でも疑うのは性格が悪い証拠」などなど。

 ぼくは、どちらの主張が正しいかを検証する気はなかったですが、「東田さんに疑義を呈する人」を攻撃する人たちの勢いが恐ろしくて、動物的なカン(あえてスピリチュアル?な表現を使います)から「この人たちに関わっちゃいけない」と悟りました。

 あの恐ろしさに比べれば、科学的合理性や立証などを気にしないで、「信じれば奇跡が起きる」「救われる」とただただ押してくる新興宗教の信者の方が、まだ潔くて好感が持てます。

 引用したCheeさんのツイートに「専門家の皆さんは、なんでみんなダンマリなんですか? ビビってる?」とあるのは、ぼくと同じように感じている人が少なからずいるからなのだと理解しました。

 「好きなもの」「信じているもの」を批判されると本能的に防御のための攻撃に出る方がおられるのは分かります。ファン心理といったところでしょう。

 ただ、こうなってくると、話の次元が違ってきます。

 映像作品「僕が飛びはねる理由」を、日本政府の機関である文部科学省が「教育上価値が高く、学校教育または社会教育への利用が適当と認められる」と言っているわけです。

 この「お墨付き」をもとに、学校教育や社会教育の現場で税金を含む多額の金銭が動くことになるでしょう。

 税金を使うのであれば、「そのお金の使い方は妥当なのかどうか」ということが、エビデンス(証拠)に基づいて厳しく検証されなければいけません。

 ビビらずに発言をしなきゃいけない時が来たようです。

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「No FC」というCheeさん(Saltbox)の呼び掛けに賛同します” に対して2件のコメントがあります。

  1. Chee より:

    はじめまして!

    そしてありがとうございます!!ブログやっていて良かった!と感激しております。
    これからどうぞよろしくお願い致します。
    療育のお話をいくつか読みましたが、共感することばかりです。苦労も重なります。笑
    ビクトリーガーデンもいいですね~。今年もまた始めてますよ。

    これはエセ科学、疑似科学であるのに、心情で誤魔化されているところをご指摘されているのが素晴らしい!
    そこですよね。

    私が協力を始めたfacilitatedcommunication.orgというNo FC団体のメンバーは疑似科学を検証するthe Committee of Skeptical Inquiry(懐疑的調査委員会?)のメンバーが関わっています。そういう話なんですよね。

    メンバーの社会心理学の先生は、FCは疑似科学の中でもまともな科学的議論にさえなっておらず「信じればできる」のレベルだけれど、社会的立場や心理のために手を付けにくいって話をされていました。どんなに「検証させてくれ」と言っても「インクルーシブ教育に反対するんですか!」と自分を正義に見せるような話にそらして科学側を悪者にしてくると。

    だからこそ私達のような障害者サポート側の人間の声って大事です。直接の専門家でなくとも、ある程度、科学リテラシーがあり、ABAやスピーチなどの療育の常識がある親や教育・福祉関係者がFC問題について知識をつける事は、FCの抑止だけでなく本当の社会福祉や療育を議論するためにも有意義と考えております。

    ここから少しずつ協力者が増えていく事を願っております。

  2. 69annee より:

    初めまして!

    Cheeさんご本人に読んでいただき、ご連絡までいただけるとは思ってもいませんでした。感激しております。ありがとうございます。ブログを始めて2年近くになりますが、直接の面識がない方からコメントをいただくのはCheeさんが初めてでして、「あ、インターネットって本当に海を越えることができるんだ」と素朴に興奮しておりますw

    Cheeさんのブログでリンクを張っておられた「ダグラス・ビクレン&東田直樹ジョイント講演会/フォーラム」のページも見ましたが、「FCとは」という講演のサブタイトルが「あると思わなければ見つけられないもの」ですし、パネリストトークのタイトルも「信じる気持ちは生きる力」という、思いっきり「科学的検証はいらないぜ」な感じを出していて清々しくすらありました。

    このイベントがあったのは2008年11月とのことですので、今はより洗練された手法を採用しているのでしょう。文部科学省から「お墨付き」をもらうぐらいには。

    自閉症当事者の家族や支援者、関係者が信じたい「物語」があって、その物語が感動的でエンタメ性に優れていて経済活動にもつながって、物語の発信者と受信者が「ともにハッピ」ーというので完結しているのであれば、第三者がとやかく言うことでもないのでしょう。才能のあるエンターテイナーがその才能を発揮して収入を得るのは当然のことです。

    ただ、それらが「正しい顔」をして公的分野に進出してきて、医療・福祉・教育行政に営業を及ぼしかねないとなると、非常に危険なことです。「障害者サポート側の人間」が声を上げて、政治や行政に「正しいのかどうか」の検証を迫るのはすごく大事ですし、ビビらないで最初に声を上げたCheeさんを尊敬しております。ぼくも、できる範囲で続こうと思っています。

    科学=学問に関わる専門家の方であれば、「科学的はどうか」は瞬時に判断できるでしょうけど、障害者というマイノリティー=弱者(って思われているグループ)が言うことに専門家の方が「それは違うよ」って指摘するのは、気が引けるし、勇気もいるのだと思われます。であればなおさら、「障害当事者の家族」がモノを言うことで、ちゃんとした専門家の方々がモノを言いやすい環境になっていくかもしれません。

    取り急ぎ、御礼と感動をお伝えしたく、書き散らしました。今後ともよろしくお願いいたします。

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