しつこく勧誘してくる新興宗教の信者から身を守るために知的障害児(者)とその家族ができること

昨年末、障害児(者)を育てている地元の保護者グループの集まりに参加した時に、「息子が新興宗教から脱会できなくて困っている」という悩みを聞きました。

 わが息子に診断名が付いて、現在暮らしている新潟県新発田市に戻ってきた直後、顔見知りの女性から妻が新興宗教の勧誘を受けて断ったエピソードは過去に書きました。

 そうか、子どもが大きくなると、信者は保護者ではなく当事者を狙ってくるのか。
 先輩たちの体験談から学ぶことは多いです。

 保護者さんのお話はざっくりとまとめると、こんな感じでした(個人特定を防ぎ、プライバシーを守る観点から一部改変しています)。

 息子さんはハタチ前後で、通っている専門学校で最近親しくなった友人ができ、その友人が新興宗教の信者で、いつの間にか入信していたとのことです。
 外出が増え、家で念仏のようなものを唱えるようになり、保護者さんがやめるように説得しても、「信じるのは自由だ」と言って聞いてくれないそうです。

 保護者グループの集まりでその話を聞いた時、ぼくはこんな発言をしました。

息子さんの脱会を引き留めている信者に、「警察と弁護士に対処法を相談している」と繰り返し伝えるといいと思います

 相手が「信教の自由」を持ち出されると反論しにくくなりますし、新興宗教の側も入信をやめさせようとする親とのやり取りは慣れたものでしょう。

 さらに、警察には民事不介入の原則があるため、刑事事件にならなそうなレベルの揉め事だと「当事者同士で解決してください」と言われるでしょうし、弁護士も相手が宗教団体となると、より慎重に構えると思われます。

 それでも、警察と弁護士に相談し、団体側に「警察と弁護士に相談している」と伝えれば、相手も法に触れるような手荒なことをしにくくする抑止効果が期待できるはずです。

 その宗教団体の「被害者の会」が結成されていれば、連絡を取るのも有効です。

 ぼくは法律家でも宗教学者でもありませんが、仕事の関係で「政治と宗教」について少し学んだことがあり、新興宗教に入信した家族を脱会させるために説得した経験もあります。

 集まりの場では、そうした経験があることを前置きした上で、助言めいたお話をさせていただきました。

 この悩んでいる保護者さんのご子息が入信したのは、妻が数年前に勧誘され、ぼくの家族が二十数年前に一時入っていたのと同じ新興宗教団体でした。

 仮にこの新興宗教団体を「KS会」と呼ぶこととします。

 家族がKS会に入っていた期間は1990年代後半の1年ぐらいで、今はその宗教と関係なく平穏に暮らしています。

 当時、脱会するようぼくが説得を繰り返したのですが、全く効き目がありませんでした。

 その頃に本やネットで調べ、信者だった家族に聞いた話を総合すると、KS会は当時、

2000年○月にこの世は滅びてしまう。しかし、日本国がそれまでに国立の宗教施設を建てれば破滅は回避される。なので、この世を救うために日本国内で信者を増やさなければならないのだ!

といった主張を展開していたと記憶しております。

 若い方はご存知ないかもしれませんが、昔はやった「ノストラダムスの大予言」の終末論のパクリにしか見えません。
 当時もそれなりの規模の団体だったはずなのに、ずいぶんと雑な話をしていたものです。

 そしてぼくは、熱心な信者だった家族に、こんなことを言って説得を試みました。

国立の宗教施設を建てるには憲法を改正しなきゃいけないし、ものすごく時間がかかる。その宗教の信者が政党を作って国会で過半数を占めることが出発点だろうけど、それを達成するのに信者一人が一日何人の日本人を入信させなきゃいけないんだ? 不可能だろ?

 宗教団体の主張を論破していけば家族も目が覚めるだろうと考えたのですが、ぼくが理詰めでしゃべればしゃべるほど家族は沈黙し、ヒステリックに叫ぶようになりました。

 ぼくも若くて、いま以上に未熟でした。物の言い方も高飛車だったでしょうし、今思えば、ぼくが介入したことは逆効果にしかならなかったと思います。

 ヘンテコな教義のヘンテコさを暴くのではなく、家族が「なぜ入信しようと思ったのか」という部分に着目し、丁寧に耳を傾けるべきでした。

 そんな狂信的だった家族は、入信から1年ぐらいでその新興宗教を離れました。

 理由を聞くと、「付き合っていた異性と別れたら、目が覚めた」とのことでした。

 これも脱会した後に聞いたのですが、付き合い始めた異性が信者で、一緒に宗教施設に通うようになったら、仕事上のあるトラブルが未然に回避されるという「奇跡」が起こり、それ以来のめり込んでいったーのだそうです。

 第三者からすれば「なんだその程度のことか」とバカバカしく思うでしょうし、狂信的だったご本人も今はそう思っているはずです。

 ただ、その時は必死で、助けを求めていたら交際相手が現れ、新興宗教が現れたということなのでしょう。

 これは、自閉症児の療育をしていく中で、問題行動をやめさせるために注意するだけでは不十分で、「なぜその問題行動をしようとするのか」と原因を探ることが大事なのと似ているかもしれません。

 息子もハタチ前後になって「友達ができた」と喜んでいたらいつの間に入信していたーなんてことも起こるかもしれません。

 しかし、親としたら障害がある息子に友達ができたなんて聞いただけで大喜びするでしょうし、それが「勧誘のために近付いただけ」と後に分かったとしたら精神的にショックが大きいだろうなぁ…。

 念のための追記ですが、ぼくは、KS会をはじめとする新興宗教団体とその信者を批判・攻撃する意図はありません。第三者の目から見ていかにヘンテコな教義や活動であろうとも、信者ご自身がハッピーなら何の問題もありませんし、第三者がとやかく言うものでもないと思います。「信教の自由」は尊重されるべきものです。
 ただ、入信したのがわが子や家族だったとしたら、その新興宗教のことをどの程度理解していて、本当に自発的に入信を選択したのか、入信により本人のその後の人生に何かマイナスになることはないかーなどと考えるものです。
 子どもに障害がある場合はなおさらです。本人の判断力が乏しい状態のまま金銭的な出費を強いられたり、友人・知人に入信するよう勧誘して回ることを迫られたり、身柄を拘束されて家に帰れなくなるかもしれません。
 新興宗教に入って救われてハッピーになったから「幸せのおすそ分け」のつもりで「善意」から勧誘を繰り返す信者さんもおられるかもしれませんが、ぼくの狭い人間関係や経験からは「新興宗教に勧誘されてうれしかった」と言っている方はおりません。それでも、というお方は、息子や妻ではなく、ぼくを勧誘してみてください。時間に余裕があれば丁寧にご対応いたしますし、後日このブログで詳しく記事にすることもお約束いたしますので。

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