「障害児の親」になって丸6年を超えましたが、直接的な「勧誘」は1回だけでした

息子が自閉症と診断されたのは息子が2歳1カ月の時でした。「障害児の親」になってもう丸6年を超えたことになります。
 妻もぼくもこの間、息子の障害について機会をとらえて周囲の方々に話すように心掛けてきました。

 自閉症という障害に対する理解を深めてもらえるかもしれませんし、何か助けていただくことがあるかもしれませんし、障害者支援に関する有益な情報をもたらしてくださるかもしれないーそんなふうに期待していたからです。
 実際、いろんな方々にいろんな場面で助けていただきましたし、役立つ情報をいただくことも少なからずありました。

 このブログもそうですが、「自閉症について知ってもらってナンボ」という気持ちが常にあります。
 こんな手前勝手な文章を読んでくださる方々には、感謝しかありません。ありがとうございます。

 最初の頃は、「障害児の保護者」であることを周囲にアピールし続けることによって、障害が「治る」霊験あらたかなご祈祷の予約や絢爛豪華な壺の購入、超イケてる講師による自己啓発セミナーへの会員登録、ワンセット数十万円ぽっちと「お値頃」な教材のセールスなどなど、刺激的な勧誘が殺到するかもしれないーと身構えておりました。

神社の石段を駆け上がる息子
写真=ドライブで訪れた街の神社の石段を駆け上がる息子(右)。われわれ家族は「宗教的なもの」を軽視しているつもりは全くありませんが、残念ながら新興宗教団体との相性はあまりよくないようです=2019年7月、山形県鶴岡市

 しかし、これまた意外にも平穏でして、その手のものは、妻が数年前に新興宗教団体「K会」の信者2人から勧誘を受けた1回だけでした。

 K会に勧誘されたエピソードは、「『発達障害児の親あるある』①新興宗教に勧誘される」というタイトルで過去に書きました。
 新興宗教団体の関係者各位におかれましては、今後勧誘される際には妻ではなく、ぜひぼくに声を掛けてください。

 この記事下にあるコメント欄でも結構ですし、メールフォームも設けておりますので、奮ってご連絡ください。
 できる限り対応いたしますし、勧誘を受けた後にこのブログで詳細かつ丁寧に記事化することもお約束します。

 この6年間、対面による勧誘は1回だけなのですが、ネット社会においては、ネット特有の「洗練された」しつこい「勧誘」が常にありました。

 同じような経験をされている方は多いと思われますが、自閉症や療育についてネットで検索したり、療育関連のサイトを開いたりすることで、「障害児ビジネス」関連の広告がやたらと表示されるようになるのです。
 「アフィリエイト」という専門用語があって、一般記事のような客観性を装いながら実はモノを買わせるための広告記事だらけーといったサイトが多くあることも知りました。

 これだけ目立つところをみると、障害児ビジネスって儲かるのでしょう。
 ネット広告による出費を十分に回収できるぐらいの市場規模はあるということかもしれません。

 「発達障害」という言葉は数年前から流行語のような扱いですし、「大人の発達障害」なんて、大手広告代理店がキュレーションサイトなどを使ってマネタイズするのに役立ちそうなキャッチーなキラーワードも登場して久しいですしね。
 この部分は雰囲気でカタカナ言葉をテキトーに並べただけですので、書いているぼくも意味がよく分かっておりません。「ナウなヤングがディスコでフィーバー」みたいなものです、たぶんきっと。

 知的障害が伴う昔ながらの「カナー型自閉症」の息子を育てる、昔ながらの「障害児の保護者」であるぼくは、そんな新興ビジネスの栄枯盛衰を今後も生暖かく見守っていこうと思っております。

 ただ、これは意外なのですが、新興宗教団体のネット広告ってあまり見掛けないんですよね。
 人間の心を扱う宗教者の集団ですので、Googleの検索結果に基づいてターゲット広告を打つような、効率一辺倒で心のこもらない横着(?)な広報手段は採用しないという方針なのでしょうか。それはそれで一つの見識です。

 とはいえ、新興宗教団体はたいてい、とても立派なホームページ(HP)を持っております。
 ヒマな時に「●●(宗教団体名) 自閉症or発達障害」というキーワードで何度かGoogle検索してみたのですが、やはり宗教団体にとって「障害児の保護者」は有力な勧誘対象なんだなぁという印象を強く受けました。一部を抜粋します。

①某新興宗教系出版社HPの書籍紹介
・子どもたちと家族の感動ストーリー
・車いすの少女が立ち上がった

②別の新興宗教団体HPにあった「自閉症児の親の信仰体験」
・一生懸命祈ったら、言葉を話すようになった
・鼻づまりが治り、視力も回復

 宗教に奇跡はつきものだとはいえ、「ツッコミどころ」だらけです。
「感動ストーリー」という言葉の響きからは山口百恵の往年のヒット曲のタイトルみたいな「昭和テイスト」がぷんぷんと漂いますし、「車いすの少女が立ち上がる」シーンを想像しようとすると、麻原彰晃元死刑囚が座禅したまま空中浮遊する有名な写真がどうしても頭に浮かんでしまいます。
 わが息子のしゃべりが上達しないのは「祈り」が足りないからであることがよく分かりましたし、鼻づまりや視力が「祈り」で改善するのであれば、腰痛・肩こりや水虫や薄毛の悩み解消もきっと、「祈り」でイケそうですね。

 「障害児の親」としての人生は、まだまだ続きます。これからもきっと、素敵な「出会い」「発見」が数多く待ち受けていることでしょう、これまでの6年間と同じように。家族3人で楽しくやっていきます。

 ABA(応用行動分析)を使って家庭で早期療育を行う保護者と療育関係者のグループである「つみきの会」には、息子の診断から2カ月後に入会し、現在も続いております。誰かに誘われたわけではなく、ネット検索でぼくが見つけ、「信頼できる」と判断して妻に勧めました。当時ぼくがそう判断した根拠は、「内容が論理的/合理的」かつ「商売っ気がゼロ」なところでした。
 会のホームページには当時も今も、広告が一切貼られておりませんし、「モバイルファースト」(Webデザイン関連の専門用語です)などという概念を一切度外視した武骨なデザインを維持しております。しかし、ここまで来ると「商売っ気がゼロ」というより「商売っ気がマイナス」という感じもあって、「運営は大丈夫かな」と逆に心配になります。息子はもう早期療育を施す対象年齢から外れてはおりますが、会との関わりは持ち続けていこうと思っております。

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