コーネリアス小山田圭吾氏の大炎上から得られた「学び」④〜障害者団体や関係者に「感情に任せた激しい批判コメント」を期待する人たちが出てくるので慎重に構える必要がある

7月14日に東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が開会式・閉会式のクリエイティブメンバーに小山田圭吾氏が入ってると発表したことから始まった今回の炎上騒ぎは、19日夜に「五輪開会式の楽曲担当を辞任」との速報で一区切りが付きました。

 これまでも数多くのネット炎上を見てきましたが、今回の騒ぎは日本のネット史上にも残る大規模なものだったと思います。

 振り返ってみて気になるのが、19日夜に小山田氏の辞任表明が速報されるまでの、この日の組織委と政府の動きです。

 官房長官が午前中の会見で強い言い方をしたのを知り、「これで小山田氏の辞任・更迭は決まった」と読んだのですが、その後、組織委が二度目の留任表明をし、「組織委が政府の意向に逆らった」ように見える状態に一時なったことには驚きました。

 以下に、マスコミの記事から19日の関係者の発言を抜粋し、時系列に並べてみました。

加藤勝信・官房長官
 「障害の有無にかかわらず、いじめや虐待はあってはならない行為」「組織委においては適切に対応していただきたい」
高谷正哲・組織委SP
 「現在は高い倫理観を持って創作活動をするクリエーターと考えている」「(官房長官発言は)承知していない
加藤勝信・官房長官
 「(組織委の対応について)現時点で具体的に承知していない」「必要な検討がなされると承知している」
 (小山田圭吾氏が辞意表明と速報)
武藤敏郎・組織委事務総長
 小山田氏辞任を発表。「判断が甘かった」「社会が謝罪によって理解するということではなかった」
※東京新聞、日刊スポーツ、ロイター、NNNのサイト記事より抜粋

 新聞やテレビの報道によると、小山田氏が突然辞任するに至った背景に「政府の強い意向があった」とみる向きが多いようです。

 午前の官房長官会見の内容について「承知していない」と答えた組織委SP(スポークスパーソン)が本当に知らなかったのか、政府主導を印象付けるための演技だったのかは分かりませんが、あれだけ露悪的にイキっていたアーティスト・小山田圭吾氏も結局のところ、政府・自民党を守るための「捨て駒」にされてしまった感があります。

 せっかく首を切るんだから、政治主導がはっきり見える演出をしなきゃ損だ、と。

 そりゃあ、「百戦錬磨」とされる絵本作家・のぶみ氏だって逃げ出しますわ。

 賢明なことです。

 この方については、東スポWebの記事「小山田に続いてOUT! 絵本作家のぶみ氏は炎上常習男 逮捕歴33回『怪しい経歴』」に詳しく載っております。さすが東スポ。

 小山田氏の存在を知らなかった妻に、「のぶみ」氏の話題を振ってみると、「絵本の読み聞かせで何度も使ったことがある」とのことでした。

 そんなにメジャーなのか。全然知りませんでした。 

 そろそろタイトルで掲げた話題に入ります。

 今回の一連の炎上を眺めていた中で、「障害者団体はなぜ今、声を上げないんだ!」という書き込みを何度か目にしました。

 組織委が「高い倫理観がある」とか言って最初の留任表明をした16日と翌17日だったでしょうか。

 障害の当事者や家族、支援団体などがこのタイミングで「感情に任せた激しい批判コメント」をすればそれが大きく取り上げられ、小山田氏や組織委を追い込むことができるのに、「あと一押し」なのに、何をグズグズしているんだーというプレッシャーのようなものを感じました。

 個人的には、われわれ家族がことし4月に入った「手をつなぐ育成会」がどういう対応するのか、気になっていました。

 地元の「手をつなぐ育成会」に入会した理由などについては、こちらに書きました。

 一般社団法人・全国手をつなぐ育成会連合会が、久保厚子会長名で「小山田圭吾氏に関する一連の報道に対する声明」を発表したのは7月18日でした。

 声明では、オリンピック開幕の目前であり、小山田氏も公式に事実を認め謝罪していることから、小山田氏の辞任は求めていません。

 しかし、コメント発表の翌19日午前の会見で加藤官房長官が小山田氏に引導を渡した形になったこともあり、連合会の声明が辞任を促す「最後の一押し」になったようにも見た人もいたようです。

 声明から引用します(太字、蛍光マーカーは筆者)。

 あれだけ露悪的なインタビューが公表されているにも関わらず、なぜ小山田氏が自身を「いかなる差別も禁じる」としている五輪憲章を掲げるオリンピック、そして障害者アスリートの祭典であるパラリンピックの楽曲提供を担当するに相応しいと考えたのか、理解に苦しみます。

一般社団法人全国手をつなぐ育成会連合会「小山田圭吾氏に関する一連の報道に対する声明」より引用

 いやホントにおっしゃる通り。

 20代前半に渋谷系にハマってその後にネット掲示板をずっと眺めてきた「サブカル老人会・インターネット老人会」メンバーとしては、障害者いじめを自慢する「人間のクズ中のクズ」として有名な小山田氏がなぜオリパラの仕事を受けたのかが不思議でなりませんでした。

 しかし、今般の事案により、オリンピック・パラリンピックを楽しめない気持ちになった障害のある人や家族、関係者が多数いることについては、強く指摘しておきたいと思います。

「小山田圭吾氏に関する一連の報道に対する声明」より引用

 これも非常に的確です。

 ぼくは20年近く前から知っていましたが、この炎上を機に小山田氏の「人となり」に初めて触れた方々の抱いた嫌悪感、不快感はいかばかりか。

 想像を絶するクズっぷりに言葉を失った関係者もたくさんおられると思います。

 会員の思いを代弁した素晴らしい声明だとぼくは思いました。

 ネット掲示板では、この声明を評価する声があった一方、ポリコレ弱者棒は最高だ 醜い男を叩くぞ!」などと、揶揄する書き込みもみられました。

 コメントを出さないと「何やっているんだ」と批判され、コメントを出すと「弱者の主張は正義でよく通るよね」と嫌味を言われる。

 想定内ではありますが、当事者や当事者家族の声は「通りやすい」ことがあるため、感情に任せて踏み込みすぎると、後でしっぺ返しをくらうのです。

 その辺のことは、以前こちらに書きました。

 そういう意味で、連合会が今回の声明で小山田氏の辞任を求めなかったことは、英断だったと思います。

 辞任を求めるコメントを出した翌日に小山田氏が辞任したら、一部のネット民から喝采を浴びるとは思いますが、後で必ず言いがかりを付けられるはずです。

 「小山田圭吾を引きずり下ろしたのは『手をつなぐ育成会』だ。何様のつもりだ」などなど。

 ネット時代、SNS時代の功罪で、世間的にいう「弱者」としては、応援していただけることも多々あって、ありがたいのですが、付き合い方をしくじると「すごく大変な敵」にも変わります。

 慎重になるにこしたことはありません。

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