食べ物の味を分かっているのかどうか分からない

現時点での息子の会話スキルでは、彼が何を感じ、何を考えているのか、分からないことがまだ圧倒的に多いです。例えば、こんなやり取りが毎日のように繰り返されます。

今日は学校で何を勉強したの?

ウエルシアに行きたい!

体育の授業はあった?

赤いポテト(チップスターうすしお味)買いたい!

体育の授業はあったの?

あった

ホントに体育やったの?

やっていない

 これでは、両親から離れて時間を過ごしている小学校での様子がほとんど分かりません。本人との会話で手に入る情報量が少ないことから、それを補うために担任の先生や支援員さんのからお話をうかがったり、息子の様子をじっくり眺めてみたり、質問の仕方をいろいろ変えてみたりして、「実際はどうだったのか」を推測する作業が必要になります。
 科学的なアプローチのようであり、警察の捜査のようでもあります。

 息子をめぐる謎はいまだ多いのですが、個人的に2〜3年前から気になっているのが、「食べ物の味がちゃんと分かっているのかどうか」です。

 味覚を言葉で表現するというのは、テレビ番組の食レポをみるに、健常者かつ大人でも難しいものだというのは分かります。
 そして、障害の有無に関係なく、赤ちゃんの頃は「食べっぷりがいいかどうか」で、その食べ物がお気に入りかどうかを推測するものだと思います。

 しかし、わが息子の場合、「食べっぷり」だけでは、どうにも分からないのです。

 具体的には、家での食事の際、息子は「瓶詰めの鮭ほぐし」「納豆」「ごま塩」のどれかをご飯でかけて食べることが多いのですが、「適量をかける」ということが理解できていないようなのです。

 何も言わないと、息子は瓶詰めを1回で空にしようとします。
 でも、お茶碗1杯のご飯に瓶詰めの鮭ほぐしをすべてというのは経済的に問題がありますし、食べた時のバランスも悪いです。第一、塩分の取りすぎです。

 で、「ご飯1杯に鮭ほぐしはスプーン3杯までね」と伝えて量を制限すると、それほど不満そうな感じもなく言うことを聞いてくれます。
 そして、ご飯に何もかけないで、瓶詰めもおかずも無視し、白米だけをただただ食べ続ける時もあります。

 障害の有無に関係なく子どもの味覚って大ざっぱなのかもしれませんし、それほど気にする必要がないのかもしれません。
 好きなものをご飯にかけすぎて塩分の取りすぎないように見てあげればいいだけなのかもしれません。

 自閉症特有の「こだわり」による偏食が成長に伴って消えていき、何でも食べるようになったのは、手放しでうれしいことです。
 さらに、息子は小さい頃から白米が大好きで、最近ではぼくよりも多くの量を食べます。必ずおかわりし、3杯ぐらいは余裕のようです。

 それはいいのですが、瓶詰めの鮭ほぐしをお茶碗に全部放り込もうと、スプーン3杯の適量だろうと、何もかけなくても同じようにモリモリ食べるので、「この子は塩辛さなどの味をちゃんと感じているのだろうか?」と不思議になるのです。

 そういえば、ぼくがずっと関心を持ち続けている「食べ物の味を分かっているのかどうか」問題をめぐっては、2年前の息子の誕生日に、有益な情報を得ることができました。

 この日は、義父が高級な牛肉を焼いて持ってきてくれました。義父はいろんなものを息子に持ってきてくれますが、その大部分が「いただき物」です。
 高級牛肉もいただき物だったようです。そして、義父は料理人ですので、焼き加減も塩コショウの具合も間違いありません。

 そして、息子はこの牛肉を、今まで見たことのないスピードで食べ続けたのです。ぼくも妻も驚きました。なんだ、すごくうまいものはこんなに夢中になって食べるのか、と。

 ただ、本当に知りたいのはこういうことより、日々食べるものの味をどう感じているのか、なんです。今日の夕食は、昨日より美味しいのと感じているのかどうか。
 それが分かれば、妻もぼくも料理を作るモチベーションが上がるってもんです。

煮物を作ってみたよ。味はどうだい?

やれやれ。ぼくが作るとしたら、煮込む前のタイミングでもう少し塩分を加えるね

 こんなハイレベルな会話をいつかしてみたいものです。村上春樹の小説みたいでもありますし。

 でもまあ、リアルにこんな生意気なことを言ってきたら、「じゃあお前が作れ!」と言い返します。甘やかしちゃあいけません。

「瓶詰めの鮭ほぐし」は、息子の偏食が解消されてきた3歳ごろからずっと買っています。鮭ほぐしへの執着がピークだったころ、「息子は『瓶からスプーンで中身を取り出してご飯にかける』という行為が好きなだけで、実は味を分かっていないのではないか?」という思いにとらわれ、その検証の意味も兼ねて「瓶詰めのサバほぐし」なる商品を買ったことがあります。
 これには全く手を付けませんでした。結局ぼくがみんな食べたのですが、味は悪くないものの、「サバを焼いて身をほぐしてしばらく放っておいたらこんな感じかな」といった想像の範囲を出ることはなかったです。一番の問題は色で、とにかく暗くて地味なんです。サーモンピンクは食欲をそそる色なんだと再認識しました。サーモンが子どもに人気があるのは、半分ぐらいは色の華やかさによるのかもしれません。

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