どこで覚えてきたのか分からない言い回しや表現を使うようになっていた〜コロナ自宅療養中の重度自閉症児の生活を振り返る②
ぼくが入院中にお世話になった病院の医師や看護師さんによると、新型コロナウイルスが感染した際の症状は、発症から4、5日目ぐらいが一番キツいケースが多いのだそうです。
言われてみれば、ぼくも妻もそんな感じでした。
しかし、「鉄人」である息子は、発症(発熱開始)した日の夜に39.4℃を記録しても歌をうたって上機嫌で、翌日からは37℃台をキープし、何ら苦しそうな様子は見られなかったそうです。
新潟県の自宅療養支援チームから送っていただいたパルスオキシメーターを使っても、ずっと正常な数値で、たまに咳をしますがケロッとしたものでした。
ゴホゴホゴホ。●●(自分の名前)病気治った〜!
世界的に蔓延していて死に至る恐れもある新型コロナウイルスの感染者なのですが、本人的には、身体がどこも悪くないのに「なぜ外出しちゃいけないのだろう」と疑問に思っていたはずです。
ですので、息子の感染後に妻がまず行ったのは、「あなたは病気なんだよ」と教えることでした。
病気の概念について、妻はだいぶ前から教えていました。
左の写真は、息子が小1〜2の頃に妻が書いたものです。
お風呂から上がってもなかなかパジャマを着ない息子に、「湯冷めしたら風邪を引く(病気になる)」ということを教える教材として活用していました。
今回、妻は「病気になると、つまらない」と息子に何度も言って聞かせていました。
病気(新型コロナウイルス)になったせいで「外出できない=サイクリングに行けない=つまらない」との訴えですが、かつてより抽象的な表現で伝割るだろうという期待が込められています。実際、伝わっているようです。
息子の自宅療養生活に付き合ってみて、いつの間にか言語表現のバリエーションが増えていることに気がつきました。
①教えていない言い回しをする
一旦ここに置いてせっけんを付けてからこする〜!
これは、一緒にお風呂に入っている時、あかすりにボディーソープをかけながら言っていました。
「一旦◯◯する〜」という表現がマイブームのようで、お風呂以外でも使っていました。妻もぼくも教えたことがない表現で、どこで覚えたのか見当がつきません。
いま咳したけど、●●(息子の名前)さんは病気?
…ではない!
この言い方も、どこかで覚えたようです。
一回このやり取りをしたら気に入ってしまい、ぼくから「病気?」と声を掛けてもらいたいがために、わざと咳をすることがしばらく続きました。
無理やり咳をしているので、喉に負担を掛けている感じがします。ずいぶんとふざけた新型コロナウイルス感染者です。
言い回しではないのですが、妻が読んでいる「進撃の巨人」の単行本を、息子は「絵本」と呼んでいます。そういう牧歌的な呼び方に合う内容じゃないのだけれど…。
②気持ち・感情を表現する言葉が増えた
ことしの4月上旬、生まれて初めて自分から「楽しかった」という言葉を口にしました。
今ではすっかりルーティンとなっているサイクリングロードを初めて一緒に走った帰り道でした。あまりに感動したので、当時ブログに書きました。
息子のしゃべることは基本的に自らの要求か希望ですので、こうした「自分の気持ち・感情」を自発的に言葉にするのは、これが初めてだったのです。
今回の自宅療養の間、バリエーションが増えていました。
(焼き魚を食べて)おいしー
(耳掃除をして)気持ちいいー
言葉の発達が遅い自閉症児の保護者の方でないと伝わりにくいかもしれませんが、これはものすごく感動的なことなのです。
③一人でずっと何かを言っている
これは、普段ぼくよりずっと多くの時間を一緒に過ごしている妻も驚いていました。
iPadで動画を観たり、お気に入りの家事をこなしたりと、一人で家の中で過ごすことができるようになったのも大きな進歩でしたが、そうして一人で過ごしている時、何やら独り言をつぶやいているのです。
「お風呂掃除をする」と言って一人でバスルームに入って行った時はこんなでした。
すっぽんぽんでお風呂掃除するー
お風呂のふたをあけてー
洗剤を出してー
こする!
いや、かわいいのなんの。こっそり覗いてみたら、全裸で熱心にバスタブをこすっていました。
その時に思ったことをそのまま口に出しているのでしょう。
そんな性癖のまま社会に出ると苦労しそうですが、まだ会話が十分にできない息子にとっては、言語表現を発展させていく上での一つの通過点なのかもしれません。
「しゃべりたい」「言葉を発したい」という息子の気持ちを、今は大事にしたいと思います。
「思ったことを何でも言えばいいってもんじゃない」ってことは、必要に迫られてきたら教えますので。
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