身辺自立と家事のスキルがものすごく上がっていてビックリ〜コロナ自宅療養中の重度自閉症児の生活を振り返る③

家族3人全員が新型コロナウイルスに感染したことで、息子は14日間、自宅から一歩も外に出ない生活を送りました。

 発症(発熱)が一番遅かったことで、ぼくとの濃厚接触者として自宅待機になった時期も含め、息子は家族の中で一番、自宅に閉じこもった期間が長かったことになります。

 毎日のようにぼくとサイクリングロードを走っていた楽しい夏休みから一転、いきなり長期の自宅軟禁に変わってしまったわけです。

 「自転車に乗りたい」「外で遊びたい」と泣き叫ぶことはなく、幸い症状も非常に軽かったこともあって、それなりに楽しそうに2週間の軟禁生活を送ってくれました。

 あまりの「手の掛からなさ」に驚きました。彼なりに「病気」の概念を理解してくれたのかもしれません。

 そして、身辺自立と家事のスキルがものすごく上がっていることにもビックリしました。

 分野別に振り返ってみます。

①入浴

 ぼくが家にいる時は原則、ぼくが息子と一緒にお風呂に入ります。

 今春ぐらいまでは、ぼくが体と髪を洗ってあげていましたが、「一人で洗いたい!」「自分でやるー!」と言うようになったため、まずは息子が自分で洗い、あとでぼくが仕上げをする形になっていきました。

 妻が「めんどくさい」という考えから、なるべく息子が自分で洗うように仕向けていたところ、どんどん一人でできることが増えていったそうです。

 ぼくは過干渉ぎみだったのかもしれません。息子の自立心を育み、成長を促すという点では、妻のアプローチの方が正しかったようです。

 ぼくが完治して退院してからはずっと、息子と一緒にお風呂に入りました。

 息子が毎回、「一人でお風呂に入る!とと入らない!」と主張するので最初の5分ぐらいは一人で入らせて途中から乱入する形を取りました。

 「入らない!」と言ってるくせに、ぼくが乱入するとうれしそうなんですよね。かわいいやつよ。

 で、乱入後も「一人でやる!」と言うので、息子がシャンプー、リンスで髪を洗い、あかすりにボディーソープをつけて泡立てて体を洗う様子を浴槽に入って眺めているのですが、かなりレベルが上がっていて、ぼくが手を出す余地がほとんどありません。

 脇の下や首筋を洗い忘れることはあるのですが、その場で指摘すれば洗いますし、シャワーでの流し残しもほとんどありません。

 ぼくがコロナで入院した一週間前より格段にスキルが上がっています。自分よりも先に発症して発熱などで苦しんでいるママを見て、自立心がさらに芽生えたのかもしれません。

 ちなみに、毎日のお風呂掃除はだいぶ前から息子の役目になっていて、洗剤をつけてスポンジできれいに洗ってくれます。

②洗濯物干し

 洗濯物の干し方って、その人の性格が出ると思います。

 妻は、手に取った洗濯物を片っ端から干していくのに対し、ぼくは「あのタオルの隣にはこのTシャツを干した方が乾きが早いはずだ」などと考えながら干す順番を決めていきます。

 で、「干し方にこだわりがある方が担当した方がいい」ということになって、半年ぐらい前から基本的にぼくと息子がやり、夜勤明けなどで朝寝ている時は息子が一人で担当しています。

 息子が最初に干して、自分なりに満足がいくと「とと来て!とと直す!」と言ってぼくを呼び、シワが寄っていたり、明らかにこれじゃあ乾かないだろうというのをぼくが干し直すーという段取りで始まったのですが、息子は少しずつ干すのが上手になっていきました。

 「上手」というか、ぼくの干し方を見て覚えて、同じように干すようになってきました。

 そして退院後、いつものように2人で洗濯物を干していました。学校も会社も休みでしたので、のんびりしたものです。

 それで、いつものように「とと直す!」と言って呼びに来るのですが、もう直すところがなくなっていました。そのままにしていても、効率よく早く乾きます。

 息子は当初、ぼくが干す位置を直さないのが不満だったようですが、「上手に干してあるから、ととが直すところはないよ」と言うと、納得したようでした。

③食器洗い

 食器洗いは、ぼくがやるのを見て興味を持ったようです。ABA(応用行動分析)の療育は妻が一手に担っているのですが、行動の模倣は圧倒的にぼくの方なのです。同性だからなのでしょうか?

 とはいえ、洗剤を使ってヌルヌルした手で割れやすい陶器を扱うわけで、障害ゆえ手先が不器用な息子には難しいこともあって、最初は妻と並んで「ちょっとお手伝いをする」形でスタートしました。

 これもコロナ退院後には、ゆすいで洗剤を付けて洗って、すすいで水切り棚に並べ、布巾でふいて食器棚に戻すーという一連の動作が一人でできるようになっていました。

 ずっと家にいて朝昼晩と1日3回やっていて、一気に上達したのでしょう。

 妻によると、納豆を入れた小鉢など洗い残しが出そうな食器は息子がいない時にチェックしているそうですが、ほぼできているそうです。


 身辺自立と家事のスキルがこれだけ上がったのですから、息子が「親の濃厚接触者として自宅待機→感染者として自宅療養」で過ごした2週間は、決して無駄ではなかったといえると思います。

 家事を含めた身辺自立は、いずれぼくと妻が死んで、息子が福祉施設のお世話になる時に必須のスキルです。早く身につけるにこしたことはありません。

 と思って喜んでいたのですが、これら3つはいずれも水に関わることなので、覚えが早いのかもしれません。

 自閉症児は水遊びが好きな子が多いと聞いたことがありますが、家事は水を使うものが多いので、親和性が高いのかもしれません。

 「片付ける」「たたむ」「しまう」といった整理整頓系や、「困ったら誰かに助けを求める」といったコミュニケーション系が今後の課題でしょうか。

 今の息子にはどちらもレベルが高いですが、何かのきっかけで急にできるようになるかもしれません、今回のように。

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