おちんちん持つ!と何度叫んだことか

8歳8ケ月となった息子は先週ぐらいから、「おちんちん」「おっぱい」「すっぽんぽん」などと言うのがマイブームのようです。

 ただ言いたいだけという感じもしますし、言った時にママやトトが少し困った表情になるのを見て楽しんでいるような感もあります。

 ABA(応用行動分析)的には、「表情を変えずに受け流す」ことでこうした問題行動を「消去」するのが正解なのでしょう。やってみます。

 きっかけは分かりません。夏休み中の上に新型コロナウイルスの感染拡大のせいで、ここ半月、ほかのお子さんたちと交流する機会が全くありませんので、他のお子さんの真似をしたり影響を受けたりしたのではないはずです。

 これらの言葉はいずれも響きが「お間抜け」な感じですし、口にするのが気持ちいいだけなのかもしれません。落語や講談の名調子を真似するみたいなもので。

 健常児が「おちんちん」「おっぱい」などと好んで言うようになるのは3歳ぐらいなのでしょうか。

 重度自閉症児であるわが息子も、ものすごく遅れてではありますがそういうことを「言いたいお年頃」になったことは、成長の一過程として喜ぶべきなのでしょう。

 しかし、新学期が始まるまでの2週間で何とかこのブームを終わらせたいものです。

 支援学級で言う分にはそれほど支障はなさそうですが、通常級との交流授業の際には、何とかこらえてもらわないといけません。女の子たちに嫌われては困りますので。


 今回は、タイトルから察しがつくと思われますが、今回はトイトレ(トイレ・トレーニング)関連の話です。

 「どのようにしてトイレでおしっこ(うんち)するように導き、できるようになったか」という身辺自立の核心部分については、いずれ妻がイラスト付きで描くと思います。

 就学前に3年近くに渡って地道な取り組みを積み重ねてきた成果といえます。
 息子も妻もよく頑張ってくれましたし、ぼくもそれなりに貢献してきたつもりです。

 ということで、今回ここで書くのは、「同性(同じ男)ゆえにサポートできた、ちょっとしたこと」です。

 わが家には「立ちション」用の便器はなく、息子がおしっこをする際は洋式便器の便座を上げて用を足します。

 これが、地味ながら結構面倒な問題をはらんでいるのです。

 この辺の機微は男性じゃないと分かりにくいかもしれませんが、洋式便器でおしっこをする際、便座に座って(おちんちんを手で押さえて方向を定めた上で)用を足す方が理にかなっています。

 便座を上げて「立ちション」をすると、便器までの距離が結構あるため、飛び散りやすいからです。

 洋式便器の普及で自宅に立ちション用便器があるご家庭はすごく少なくなっていると思われます。

 しかし、学校や公共施設、高速道路のサービスエリア、ショッピングセンターに至るまで、大部分の男子トイレには立ちション用便器が備え付けてあります。

 学校をはじめ自宅外でのことを考えると、「立っておしっこをする」ことを最初に教えなければいけません。

 洋式便器で立ちションする際、飛び散り防止のため膝を曲げて用を足すという手もあります。
 しかし、不自然で情けない体勢を強いられますし、飛散防止という点では、便座に座る方が優れているはずです。

 「立ちション用便器」がある時は立って用を足し、洋式便器しかない場合は便座に座って(おちんちんを手で押さえて方向を定めた上で=編注:大事なことですので繰り返しました)用を足すという2パターンを教えるのは、手間も時間もかかります。

 これら2パターンを使い分けるのは、自閉症男の子トイトレ上級編といえるかもしれません。

 わが家では、洋式便器に座っておしっこをするというやり方はまだ息子に教えていません。

 ですので、どうしてもおしっこが飛び散ってしまいます。飛散量をいかに減らしていくかというのが大きな課題といえます。

 息子の場合、洋式便器での立ちションができるようになった直後はそれほど問題なかったのですが、だんだん「コースアウト」する頻度が高くなっていきました。

 これは今だから分かるのですが、膝を曲げて用を足す方法を教えていない中で、背が高く(≠おちんちんが長く)なれば、どうしても飛び散りやすくなります。

 ブラブラさせたままで「おちんちん持つ!」しないと、とんでもないことになります。

 ということで、息子が自宅トイレに入っている時、一緒にスーパーや公共施設のトイレに入る時、いつも息子に「おちんちん持つ!」と声を掛けています。

 声を掛ければ、息子は持って用を足すようになりますが、毎回言わないと持たないんですよね。忘れてしまうのか、わざとなのか分かりませんが。

 あと、息子は洋式便器で立ちションする際、途中でわざとコースアウトするいたずらをする時期がありました。

 これはホントに意味不明かつ腹立たしかったのですが、途中まではちゃんと持って飛び散らせずに用を足しているのに、終盤?になると方向を便器の外に向けるのです。

 この問題行動は1年近くも続きました。現場を押さえることができれば、その場で注意するのですが、多くの場合は妻やぼくがトイレに入ると床が「水浸し」になってるのに気付き、息子を呼んで注意し、雑巾で拭かせるような対応でした。

 これまた悩ましい問題で、現行犯でないと、注意しても効果が薄いのです。
 時間が経ってから注意した場合、「自分(息子)がわざと撒き散らした」ことを忘れている可能性があります。

 ものすごい苦労の末に「自力でトイレでおしっこ・うんちができるようになった」のに、コースアウトの件できつく注意することでトイレ自体が嫌いになったら困るーという心配もありました。

 そんな事情から、コースアウトについては「やんわりと注意喚起する」程度にとどめていたのですが、いつの間にかやらなくなっていました。

自宅トイレの張り紙
写真=妻が作成した自宅トイレの張り紙。注意喚起がドアの閉め方程度にとどまっているところに、息子の成長を感じます=2020年8月、新潟県新発田市

 今でも「おちんちん持つ!」の声掛けは続けているのですが、コースアウトしたとしてもわざとではないことが分かりますので、穏やかな気持ちで接することができます。「次は頑張ろうね」と。

 最後に、これまでの長い「連れション」経験で分かったのですが、就学前の小さな男の子でも、夜中にトイレに行く時や寝起きする時に「少し大きく」なっていることがあります。

 そういう場合は本人が手で持ってもコース変更ができないこともあります。これはどうしようもないことですので、コースアウトしたとしても責めないであげてください。

 うちもそろそろ、「座りション」を教える時期かもしれません。

 10年ぐらい前でしょうか、「座っておしっこするのは男らしくない」が持論の中年男性に対し、ネットで「飛び散ったおしっこの後始末もしないくせにエラそうなことを言うな」と女性を中心に批判が相次いだことを思い出しました。「洋式トイレ おしっこ 男 座る」でググるとネット媒体の記事が何本も出てきます。今も決着がついていない議題なのでしょうか。
 学校や公共施設にある立ちション便器の品質はまちまちですが、大型ショッピングセンターのトイレはみんな高性能で、「おちんちん持つ!」しなくてもほとんど飛び散りません。こういう場所ですと、持つことよりも、下半身と便器の距離が重要になってきます。男子トイレの張り紙によくある、「もう一歩前へ」ってやつです。
 男の子の成長に伴い、ある程度の長さになってくると、しっかり持たないとズボンを濡らしてしまうリスクが高くなってきます。それを避けるためには、ただ漫然と持って前方に向けるだけではなく、おしっこがどんな軌跡を描いて便器に当たっているのかを常に目で確認することが重要になってきます。この辺の「機敏」は、同性である男親がちゃんと教えなければいけませんし、シングルマザー(事実上のシングル子育てを強いられているママさんを含む)の方は、身近な男性に協力をお願いするなり、何らかの工夫がいると思われます。

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