ドクダミの根を食べ損ねたのは不覚でした

われわれ家族が暮らす街は、1月末になっても積雪ゼロです。新潟県内でもそれほど雪が降らない地域なのですが、それにしてもこの時期にゼロというのは異常です。

 というわけで、年明けから思い立って始めた庭仕事は今も継続中で、芝生の剥ぎ取りは先日終了しました。
 日中の昼間に作業をしていると、配布物を届けに来られたご近所さんに声を掛けられるのですが、「まだ若いのに失業したのかな」と気の毒に思われているかもしれません。大丈夫です、今日は夜勤なんです。

 ここまでに行った作業は以下の通りです。

・ドクダミの根絶
・瀕死のリッピアを鉢に避難
・ナンテンの木を移植
・タイムの苗(9種類)植え付け
・家の周囲の雑草の根を取り除き、クローバーの種(3種類)をまく

 かなりの進ちょくぶりです。ことしは暖冬で冬野菜の成長が早い上に価格が安いそうで、プロの方たちもいろいろご苦労が多いようです。

 新潟県内では雪関連の恒例イベントが中止だったり規模縮小だったりというニュースが報じられていますが、「雪下ニンジン」や「雪中貯蔵酒」はどうするのでしょうか?
 これらの取り組みは、厄介者だった雪を有効活用しようと始まったものでしょうから、必死に雪をかき集めてやるというのもちょっと本末転倒な気もしますし。

 新潟県は長らく「高校野球後進県」と言われ、雪が積もる冬場にボールを使った実践的な練習ができないことが原因とされてきました。ガーデニングの世界においても、雪が積もると作業ができませんので、それがハンデになって本県は暖かい都道府県に比べガーデニングの技術が低い…わけないか。
 まあ、「グラウンドで練習できてラッキー」と思っている本県の高校球児のような気持ちで庭仕事をしているってことです。

 本題(?)に戻ります。庭の芝とナンテンは、この家に前に住んでおられた方が植えたものです。おそらく、これらは20〜30年近く一度も掘り返されることがなかったはずです。
 ドクダミについては、有用植物ではありますが、あまり観賞向きではないですし、独特のにおいもありますし、不本意にもどこかから敷地内に侵入してきて居座ったのでしょう。

 「根っこを掘り起こす」というのは単調な作業ではありますが、いろいろと「学び」もあります。当たり前ですが、掘り起こしてみないと、地下の世界のことは分かりません。

 地上から眺めると、芝はびっしり根を張っいて、他の植物の侵入を許さない「鉄壁な守り」が特徴のように見えます。でも、根は浅く、スコップで少し掘り起こすと、あっさりときれいに抜けます。

 対照的にドクダミは、根の量が多くてやたら長いのですが、それほど密集はしていなくて、引き抜こうとするとすぐにポキポキ折れてしまいます。
 匂いも葉っぱ並みに強烈で、生っ白くてヒョロヒョロした見た目はかなり不気味です。

 隙がないようにみえて実は淡白な芝、弱っちいようにみえてしつこく生き残ろうとするドクダミ。なんか、人間観察をしているようでもあります。

 ナンテンに関しては、こうして植え替えるまでは全くの無関心で、完全に「ネグレクト」しておりました。
 この中古住宅を購入した直後、ナンテンを引っこ抜こうとしていたら実家の母から「これは縁起のいい木だから残した方がいい」と言われて思いとどまったのですが、何のケアもしませんでした。

 植え替えを機にナンテンに注目するようになり、ご近所の庭に植わっているものに比べ、うちのナンテンは実の付きが極めて貧弱(3粒だけ)な上に、葉の色も弱々しいことがよく分かりました。
 掘り返してみて初めて分かったのですが、コンクリートブロックで囲まれた狭い花壇に植えてあったため、根詰まりがひどかったのです。これでは生育不良になります。

 これまでにナンテンに対して関心を持っていて、想像力が少しでも働いていれば、「元気がないのは根詰まりしているからだろうか」と気付いたかもしれません。
 しかし、関心も想像力もないと、こうした「SOS」に気付くこともないのです。

 人間社会でも、似たようなことがあるのではないでしょうか。感性と想像力を研ぎ澄まさないと、「生きづらさ」を感じている第三者のサインを見過ごしてしまう。自閉症の療育においても、こうした心構えは重要ではないか…。

 こんなことを書いていますと、まるで「身近な自然から人間社会の成り立ちに思いを致す哲学的な志向を持った知識人」や「何でも一般論にこじつけて得意げに持論を展開する痛いオッサン」と思われる向きもあるかもしれません。

 しかし、そういうことではありません。ここまでの文章は、これまでの庭作業において大量に掘り起こしたドクダミの根を「全部捨ててしまったのは不覚だった」という説明をするための前振りなのです。

 ぼくはこれまで、庭に自生していたドクダミの葉っぱや花をアルコール漬けにして、虫刺されのかゆみ止めスプレーや化粧水を作りました。妻は葉っぱを乾燥させて入浴剤を作っていました。
 エコでロハスで「丁寧な暮らし」って感じですよね。

 しかし、ドクダミの根を何かに使おうという発想はゼロでした。
 掘り起こしてみて初めて関心を抱き、ドクダミの根についてGoogle検索してみると、面白いサイトが次々と見つかりました。

・「中国貴州省について書いてます。そこに住む少数民族のことも」というブログの記事「折耳根(ドクダミの根)の料理の数々

・「深セン・香港の観光旅行生活情報局」というブログの記事「ドクダミ(魚腥草)の収穫を手伝った。きんぴらドクダミにして食べてみた

 これら2つの記事を総合すると、ドクダミの根は中国西南部の貴州省ではメジャーな食材で、炒め物や麺類の薬味として使われていて、スーパーで売っていて、日本人の口にはあまり合わないようです。
 「ドクダミの根 中国」「ドクダミの根 レシピ」で再検索すると、さらに出てくる出てくる…。 美味しそう…。

 自称「食べられる雑草マニア」としては、ドクダミの根が食べられることを知らないで捨ててしまったのは不覚でした。
 もったいないことをしました。貴重な食材を粗末にしちゃあいけませんね。手元にないとなると、余計に食べたくなるものです。

 庭のドクダミを根絶したという話を妻にしたら「また入浴剤を作ろうと思っていたのに、全部抜いちゃったのー」と少し残念そうでした。しかし、これまで庭に自生していたものをすべて自家消費するのは量が多すぎて不可能ですし、どうせポキポキ折れた根っこが土の中に残っているでしょうから、また生えてくるはずです。
 ネットで調べてみたら、新型コロナウイルスで大変な武漢市がある湖北省とドクダミの根を常食する貴州省は、重慶市を挟んで隣り合っています。日本国内でも新たな感染例が確認されました。早急に収束して「ドクダミの根は美味い」「いや、不味い」というアホな話で両国民が笑い合えるような状況に落ち着くことを祈ってやみません。わが家の庭の話から随分と広がってしまいましたが、加油!武漢!

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