小学校の運動会ではなぜ、子どもたちを紅白に分けて競わせるのだろうか

少し前に息子の小学校で運動会があり、そのことをこちらで書きました。

 これを読んでくださった方から、興味深い記事をご紹介いただきました。

 一般社団法人こども発達支援研究会のサイトに載っている記事「『優しさ』はどう教える? 〜共感より◯◯が大事!〜」です。

 ぼくは息子の運動会について書いた中で「(運動会で児童を)紅白で競わせるということの教育的意義がよく分からない」という記述があったのですが、そのことに対する回答というか対処法が紹介されていました。

 冒頭の部分を引用します(蛍光マーカーは筆者)。

「優しさ」を教え方は様々ですが、一つの方法に「共感」を使ったアプローチは多いです。

「このクラスは仲間なんだから助け合おう!」
「困っている友達がいたら助けてあげよう!」
「(運動会で)協力して紅組は優勝しよう!」

このような、共感による仲間意識を持たせることで、集団内で協力し、助け合い協力する場を設けることで、優しい行動を身につけていきます。これは、主に日本の学校でベースとなるアプローチであり、「優しさ」を含めた社会性を高める教育として効果があると思われています。

一般社団法人こども発達支援研究会サイト「『優しさ』はどう教える? 〜共感より◯◯が大事!〜」より

 そうだったのか。「社会性を高める教育として効果があると思われている」のか。

 教育学を履修した人にとっては「基本中の基本」なのかもしれませんが、全く専門外のぼくにとっては、かなり新鮮な「学び」でした。

 この記事ではさらに、後段で「この共感と所属集団を使った指導には負の面も存在する」として、「子どもたちに仲間意識や集団を意識させればさせるほど、自分とは異なる人をいじめる(排除する)リスクが上がってしまう」ことを挙げています。

 教育の素人としては、こっちの弊害の方が真っ先に頭に浮かんだため、なぜ紅白に分けるのか疑問だったのです。

 「集団への所属意識が強ければ排他性も増す」というのは、子どもたちに限らず、大人の社会でもよくある見かける現象です。

 「共通の敵が見つかると仲間内の団結力が高まる」ことしかり、「日本が大好きなだけの普通の日本人です」と称するTwitterの匿名アカウントが特定の外国やマイノリティーを汚い言葉で罵ることしかり。

 「紅白で競う」というと、NHKが大晦日の夜に放送する「紅白歌合戦」が有名ですが、この番組の視聴者の中で「紅組と白組、どちらか勝つのだろう」という点に関心を持っている方は極めて少ないのではないでしょうか。

 紅白歌合戦の場合、基本的に性別で紅白を分けていますが、性別を超えて活躍されている歌手やアーティストもおられるわけです。

 そもそも、視聴者がほとんど興味を持っていないであろう「紅白の勝ち負け」に対し、演出によって無理やり注目させようということにそもそも無理があって、観ていてしらけるんですよね。

 小学校の運動会でも、同じようなことを感じました。

 観戦する保護者の方に「わが子が所属する紅(白)組に勝ってほしい」と願っている方はほぼいないでしょうし、多くは「自分が子どもの頃もこんなふうだったなぁ」「何かの教育上の演出なんだろう」などとスルーすると思います。

 紅白に分けられて言われた通りに応援している児童の中にも、学校側の教育的な意図が伝わらず、「なんで競っているのだろう?」と疑問に思っている子も少しはいると思います。

 ぼく個人としては、そういう疑問を抱く児童の方により共感を抱きます。

 ぼくは、重度自閉症・中度知的障害がある息子に「君は紅組なんだから、紅組が勝つために頑張って、紅組を応援しなきゃダメだよ」と教えようとは思いません。教えたことを理解してくれるかどうかは別として。

 先ほど引用した記事には、弊害の具体例とその対処法も挙げられています(蛍光マーカーは筆者、原文の漢字の変換ミスは直しました)。

例えば、運動会でクラス対抗リレーなどをすると、順位がつきます。
すると、
◯1位の組は、集団で喜び、他の組を下に見るようになる
◯最下位の組は、組の中で負けた原因人物を排除に動くようになる
といった現象が起きやすくなります。

よって、例えば、「リレーで順位がついた後、キャプテン同士が握手をして健闘を称え合う」のような姿を入れる
その後、校長先生から「キャプテンのお互いを称える行動が素晴らしかった!」のように評価してもらう。

このような、集団外へのアプローチを全員に見せることで、負の共感を予防することができるようになります。

一般社団法人こども発達支援研究会サイト「『優しさ』はどう教える? 〜共感より◯◯が大事!〜」より

 記事のあとがきには、「共感性に対するアプローチは、集団に所属することが苦手な子にとっては、排除される要因を作ることもあります」との指摘もなされています。

 そうそう、「負の共感」という用語は初めて聞きましたが、ぼくが心配していたのはこういうことです。

 特別支援学校の運動会では、児童・生徒を紅白に分けて競わせたりするのでしょうか?

 「集団に所属することが苦手」な自閉症児が運動会で紅白に組み入れられることにはリスクがあり、そのリスクが軽減されるかどうかは、現場にいる先生の力量によるのでしょう。

 健常児と一緒に学ぶ機会がある特別支援学級に所属している以上、児童がそのリスクを引き受けなければならないのは、致し方ない面があるのかもしれません。

 であるからこそ、支援級の保護者は学校との連携を密にして、一緒にリスクを軽減していくことが大事だと思いました。

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