いくら奇声を上げても気兼ねしないでいい場所があることを忘れていた

これまでさんざん話題にしてきました「エア父子家庭」生活の最終日=妻の退院前日は、雨風が激しい荒天でした。

 「アウトドア派」自閉症児の親としては、一番困るパターンです。

 最近マイブームのサイクリングができないし、昨年よく出掛けた鉄道ウォーキングも今日はできません。

 それほど寒くはないので、雨具を着て外遊びを強行する手も考えられるのですが、風が強すぎました。

 これを書いたのは2019年11月ですので息子が7歳11カ月の時ですが、「外で遊べない休日」問題には3歳ぐらいの頃から現在に至るまで、ずっと頭を悩ませています。

 こんな時、お絵描きや楽器演奏、読書、動画観賞が好きな「インドア派」のお子さんが心底うらやましいと思います。

 ドライブだと息子もおとなしくてぼくもラクなのですが、今日の昼はご飯を2人で2合も食べちゃったし、息子は体力があり余っててエネルギーを発散する場がないのはかわいそうですし、ぼくもこれ以上体重を増やしたくないし…。

 児童館に行くには大きくなりすぎたし、一般の体育館は開放しているかどうか分からないし、そもそも体育館で時間をつぶせるようなスキルもないし…。

 となると、温水プールしか思い浮かびません。

 息子が年長組の冬、隣の胎内市にある温水プール(クアハウスたいない)にほぼ毎週通っていました。

 料金は大人1020円(胎内市民は割引あり)、子どもは小学生以下無料で、障害者割引はなさそうですが、プールと入浴施設の両方がこの値段で使えるとあって、非常に重宝していました。

 この頃、息子は休みのたびに「プールに行きたい!」とせがんでいました。

 ただ、この施設での滞在時間は長くて1時間余り、短いと30分ぐらいと、非常にムラがありました。

 彼としては、水着に着替えてプールで少しバチャバチャし、裸になって入浴施設のお湯で一通り遊べれば満足なのでしょうが、親としては、時間つぶしのためにお金を出しているわけですので、なるべく長い時間居てほしいわけです。

 加えて、30分〜1時間では、一緒に行った親が施設を楽しめません。

 通い始めた頃は、プールに備え付けのウォータースライダーを喜んでいました。

 でも、だんだん飽きてきて、「5回滑ったら帰るよ」という感じで「義務化されたアトラクション」になってしまいました。かわいそうなウォータースライダー。

 年長組の冬を終え、小学生になると子ども料金510円(胎内市民は割引あり)がかかるようになりました。

 ぼくと2人で行って計1530円、家族3人だと計2550円。
 この料金を払っても息子のノリが悪くて30分で出るとなると、コスパが悪すぎますし、精神的ダメージも大きいです。

 ということで、就学以来、温水プールから足が遠ざかっていましたが、今日は、温水プールに賭けてみるか。

 「エア父子家庭」生活の最終日だし、全然ダメだったとしても、退院後の妻に話すネタにはなるか、と。

 こんな感じで、全く期待せずに出掛けた温水プールでしたが、結果的には大当たりでした。

 時代遅れな紋切り型の表現でいうと、「うれしい誤算」ってやつです。

 ウォータースライダーの前まで来て「滑り台、すべる?」と聞くと、息子は「すべる!」と答えてくれました。

 とりあえずは第一関門は突破。何回滑ったら飽きるのかによるけれど、うまく引き延ばせば1時間は居てくれるかもしれない。

 年長組の頃からですが、息子は1人で滑るのが怖いようで、ぼくが後ろから抱きつくような格好で一緒に滑り降ります。

 しかしこの日は、数回滑ると「ととバイバイしたい!」と言って、1人で滑りたがるようになりました。

 最初は、滑り降りて下のプールに着水する際におぼれてしまうかもと思って下に待機していましたが、全く問題なく、ぼくにも滑るように促してきました。

 70〜80回ぐらい滑り、滞在時間も過去最長の3時間超。初めて「元を取った」という感覚になりました。

 ずっと滑っていて気付いたのですが、ウォータースライダーっていくら奇声を発しても周囲に気兼ねしなくていい、素晴らしい施設なのです。

 ウォータースライダーを滑る時は健常児はもちろん、大人ですら歓声を上げることがあります。

 障害児が奇声を発してようと、なんら違和感はありません。

 健常児も大人も歓声を上げるというと遊園地のジェットコースターもそうですが、遊園地が家の近くにないと気軽に行けませんし、70〜80回も乗れば料金が相当高額になるでしょう。

 いろんな意味で、温水プールのウォータースライダーは優秀だといえます。

 加えて、「クアハウスたいない」が素晴らしいのは、いつ行っても利用者が少ないことです。

 新型コロナウイルスの感染拡大でソーシャルディスタンスという言葉が注目されていますが、この施設はそれ以前からソーシャルディスタンスが保たれております。

 これはディスっているのでは決してありません。

 利用者の少ない公共(的)施設って、自閉症児の親にとって非常にありがたい存在なのです。

 この記事を書いたのは2019年9月で、ここで取り上げた日帰り温泉施設は翌2020年の3月に休館してしまいました。とても悲しいです。

 「クアハウスたいない」には末長く営業を続けてほしく、微力ながらこちらで紹介しようと思って、ウォータースライダーの外観の写真を撮ろうと考えましたが、撮影スポットが分からなかったため、「子どもとおでかけ情報サイト『いこーよ』」から引用させていただきました。

新潟県胎内市「クアハウスたいない」のウォータースライダー(子どもとお出かけ情報サイト「いこーよ」より引用)
写真=新潟県胎内市「クアハウスたいない」のウォータースライダー(子どもとお出かけ情報サイト「いこーよ」より引用)

 この写真がいつ撮影されたものか分かりませんが、完成直後でしょうか。

 現在の施設はここから老朽化して、かなり「味わい深く」なっております(ディスっていません!)。

 「クアハウスたいない」は、重度自閉症+中度知的障害があるわが息子の成長に、QOL(生活の質)向上に、非常に役立っております。ありがとうございます。

 これは新潟県下越地方のローカルな話ではありますが、皆さまがお住まいの地域にも、奇声を上げても気兼ねしないでいい「穴場スポット」は必ずあるはずです。探してみるといいですよ。

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