第三者に感動を与える力はないとしても、知的障害児(者)がスポーツを続けられる環境が身近にあり続けてほしい〜当事者家族が思う「感動ポルノ」⑧

この記事は10日前にアップしようと思っていたものです。コーネリアス小山田圭吾氏のことを書いていたら、もうオリンピックが始まってしまいました。

 特に加筆する部分もなさそうでしたので、そのままアップします。

 オリンピックやパラリンピックといったスポーツについてここ3回書いてきましたが、妻もぼくもずっと、スポーツから縁遠い生活を送ってきました。

 体育会の部活に入ったことがありませんし、スポーツを観戦する習慣もありません。

 ぼくは、偶然テレビをつけた時にスポーツ中継がやっていれば観ることもありますが、妻はまったく興味がないようです。

 以前にインフルエンザをこじらせて肺炎になって2週間近く自宅療養を強いられたことがあって、ちょうど平昌冬季五輪の時期とぴったり重なっていたため、家でずーっと中継を観続けていたことがありました。

 Amazonの「Fire TV Stick 4K」を買う前だったので、当時はおとなしく地上波で暇つぶしをしていたんだなぁーと感慨深いものがあります。

 ルールが分からなくて存在すら知らなかった競技もありましたが、観始めれば熱中するようになりました。平昌はホントに楽しかった。

 来日中のIOCのバッハ会長が「聖火がともれば盛り上がる」という趣旨の発言をしたと報じられましたが、今回の東京五輪を無邪気に楽しめる人がどれだけいるか。

 個人的には、東京・お台場で開催される予定のトライアスロンが少し気になりますが。

 今も競技スポーツからは縁遠いのですが、息子は体を動かすのが大好きで、そんな息子に付き合っている中で、「障害児(者)とスポーツ」について考えるようになってきました。

雨の中サイクリングロードを走る息子
写真=雨の赤谷サイクリングロードを走る息子。サイクリングは基本、雨天決行です=2021年7月、新潟県新発田市

 息子は今春から、自転車でサイクリングロードを走るのが一番の楽しみで、ぼくが休みの日を中心に週に2〜3回は出掛けます。

 1回出掛けると1時間半〜2時間、ほぼ休みなく走り続けます。

 基本的にふざけて笑ってばかりいる息子ですが、自転車に乗っている時はいつもに増していい笑顔なんです。

 家に戻ると息子はすぐに「もう1回、自転車に乗りたい!」と言います。

 調子に乗って1日に2回サイクリングロードに行ったこともありますが、息子は平気でした。

 友達と心を通じ合わせて遊んだり、本や映像で物語を楽しんだりすることがまだできない(ずっとできないような気もします)今の息子にとって、父親とサイクリングロードを走るのが唯一最大の娯楽なのだと思います。

 体が丈夫な9歳の男の子は障害の有無に関係なく、このぐらいの体力があるのかもしれません。

 しかし、これは裏を返すと、ぼくが定期的にサイクリングロードに連れて行かないと、これだけの有り余る体力が発散できないわけです。

 ストレスが溜まっていき、かんしゃくや問題行動につながることも考えられます。

 息子にとって、「体を動かすこと」が今後の人生においても一番の楽しみ、娯楽、ストレス発散法として、すごく重要なのではないかと考えるようになりました。

 今は幸い、息子の特性と習熟度を理解していて、時間のやりくりがある程度できて、息子と付き合えるだけの体力があるぼくが、一緒にサイクリングをすることができます。

 しかし、ぼくがいつまでも息子の運動に付き合うだけの体力と時間があるのか分かりません。

 また、父親以外の第三者と一緒に体を動かす機会があれば、もっと違う形で成長が促されるかもしれません。

 そう考えていくと、彼が親亡き後も健康で文化的な生活を送っていくためには、身近にスポーツができる環境があり、一緒にスポーツを楽しんでくれる仲間がいることは、非常に重要なのではないかと気付きました。

 息子は学校の体育ではそれほど体を動かさないみたいですが、学校を卒業したらそもそもスポーツをする機会がなくなってしまうのではないか。

 卒業後の具体的な事例については次の先輩ママさんたちの集まりでうかがってみるとして、ネットで興味深い調査を見つけました。

 前回取り上げた、日本財団パラリンピックサポートセンター「パラリンピック研究会」のサイトに掲載されている中山健二郎さんの論文「パラリンピックと放送に関する研究について⑴─平昌パラリンピック大会の放送に対する障がい当事者の解釈・態度に関する調査報告─」です。

 研究テーマはタイトルの通りなのですが、その前段で当事者や当事者家族などに行った調査が、「知的障害児(者)とスポーツ」について考える上でとても参考になります。

 以下に掲載した三つの表はいずれも、この論文の調査結果からデータを抜粋してぼくが作成しました。

 表にある「本人」は、質問に対して本人が回答したもの、「代理」は保護者など本人以外が回答したものです。

日本財団パラリンピックサポートセンター・パラリンピック研究会「パラリンピックと放送に関する研究について⑴─平昌パラリンピック大会の放送に対する障がい当事者の解釈・態度に関する調査報告─」から作成した表(1)自分自身のスポーツ活動の有無

 スポーツ活動を「まったく行っていない」「ほとんど行っていない」の合計が18歳未満では44.6%だったのに対し、特別支援学校高等部(高校)を卒業後の18歳以上だと46.8%(本人)67.0%(代理)に増えています。

 18歳以上で代理回答だった方は本人回答の当事者より障害が重いと捉えるとすると、知的障害が重い当事者は学校を卒業後にスポーツを行っていないという実態が分かります。

 ちなみに、健常者の欄をぼく自身に当てはめてみると、息子が4歳になって公園で積極的に遊ぶようになるまでは「まったく行っていない」(39.1%)のグループで、8歳で自転車に興味を持つようになるまでは「ほとんど行っていない」(19.6%)でしたが、サイクリングロードに通うようになったここ3カ月は堂々の「日常的に行っている」(19.9%)入りを果たしました。

 これは息子のおかげです。

日本財団パラリンピックサポートセンター・パラリンピック研究会「パラリンピックと放送に関する研究について⑴─平昌パラリンピック大会の放送に対する障がい当事者の解釈・態度に関する調査報告─」から作成した表(2)以前のスポーツ経験

 「以前からずっとスポーツはしていない」という当事者はきっと、運動ではなく絵画や音楽などを好むインドア派なのかもしれません。

 問題なのは、以前はスポーツをしていたのに「スポーツできる環境がなくなった」と答える18歳以上の当事者が22.9%(本人回答)、11.9%(代理回答)もいることです。

 これもやはり、学校を卒業するとスポーツをしたくてもする機会がなかなかないわけで、ぜひ支援をお願いしたいところです。

日本財団パラリンピックサポートセンター・パラリンピック研究会「パラリンピックと放送に関する研究について⑴─平昌パラリンピック大会の放送に対する障がい当事者の解釈・態度に関する調査報告─」から作成した表(3)スポーツ活動の目的

 スポーツ活動の目的をとして、「友人・家族とのコミュニケーション」を挙げる方の割合が、18歳未満と18歳以上(本人・代理)のいずれも健常者を上回っています。

 他社とのコミュニケーションで困難を抱えることが多い知的障害の当事者にとって、スポーツは非常に大切なツールであることが分かります。

 「仕事上の付き合い」との回答が18歳以上(本人)で10.7%あったことも興味深いです。

 職場のクラブ活動なのかもしれません。なんかいいですね。

 いま9歳の息子が成人してからのQOL(生活の質)を維持していくためにも、知的障害児(者)がスポーツを続けられる環境を整えることがすごく大事だと、あたらめて考えさせられました。

 将来に向けて、今から準備していかねば。

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