4カ月ぶりにととが代わりに復習ABA療育をやってみたら〜コロナ自宅療養中の重度自閉症児の生活を振り返る①
新型コロナウイルスが完治して職場に復帰すると、いろんな方から質問攻めに遭いました。
「どんな症状が出たのか」「抗体カクテル療法は効いたのか」「入院生活は」「自宅療養した家族の様子は」「治りかけはどんな感じなのか」などなど。
興味ありますよね、そりゃあ。気持ちは分かります。
コロナ関連のマスコミ報道って、「医療や行政サイドの不手際」や「重い症状が出て亡くなられた方」「無防備に外出している若者を『気持ちが緩んでいる』と攻撃する」など、極端な事例ばかりで、地味に感染して地味に完治した人の情報って流さないんですよね。
政治・行政の不手際や悲惨な事例を広く伝えることの社会的な意義は分かりますし、地味な話はニュースにならないという事情は理解できますが、生活していく上では「身近で地味な話」が役に立ったりします。
そんな気持ちもあって、このブログでは、われわれ家族が感染してからの地味な生活について紹介してきました。
家族3人ともそれほど深刻な症状は出ずに、発症から丸10日で完治の認定をいただきましたし、新潟県新発田保健所をはじめ県立新発田病院、県の自宅療養支援チームの対応は素晴らしく、本当に感謝しています。
ニュースにはなりませんが、身近な行政がきちんと機能していることを伝える意義はあると思っています。
というわけで、引き続き「地味な話」を。
職場から家庭にウイルスを持ち込み、いち早く完治したぼくは退院から9日間、ずっと息子と一緒に過ごしました。
退院直後は、ぼくが入院でいない間に家事と育児を一人で担ってきた疲れもあって妻の体調が悪く、ぼくが家事全般とABA(応用行動分析)による療育を行いました。
療育のカリキュラムについては、ぼくの入院中に妻に作っておいてもらっていました。妻が完治してからも、最初にぼくが復習的な療育をして、妻が新しいことを教えるーという分担で続けました。
ABAの家庭療育は7年前から妻が一人でやってきており、ぼくがちゃんと関わるのは、ことし4月に妻が手術で入院した時以来で、2回目です。
今回行った「復習ABA療育」で、気づいた点をまとめてみました。
①引き算の概念を教えるのは難しい
妻が用意してくれたカリキュラムの一つだった「繰り上がりなしの2ケタの足し算」は、ほぼ完璧にできました。
しかし、引き算はまだちゃんと理解していないことが分かりました。
おはじきを使って「7個から3個を取ると、残りはいくつ?」みたいな感じで繰り返していくのですが、残ったおはじきの数を指で数えないと答えられませんでした。
引き算を教えるのには、妻も苦労しているようです。
②電卓はミスタッチを減らすのが課題
電卓は、息子のような知的障害者には大きな武器です。
これがちゃんと使えるようになることは、生活していく上で非常に重要です。幸い、息子は電卓を使った計算が好きなようで、療育の時間が終わった後もいじっています。
ただ、指の動きがフニャフニャしていることに加え、ミスタッチも結構ありました。
「1000」と押すべきところ「0」の数が足りなかったり、「+」や「=」を2度押ししてしまったり。間違った数字を押してしまってやり直す時も、「C」をちゃんと押していなくておかしな数字が表示されてしまったり。
使いこなすまでの道のりは長そうですが、確実に覚えさせなければいけません。
③教科書の音読は、読み飛ばしをチェック
2年生向けの教科書に載っている「動物園の獣医」を毎日、読んでいました。よほど気に入っているのでしょう。
ほぼ暗記しているため、音読の練習になっていないような気もしますが、読んでいると本人がうれしそうですし、新しいことを教えることが目的ではないため、好きにさせていました。
ただ、教科書の文字を追いながら息子の音読を聞いていると、早口になって読み飛ばしている箇所がいくつかあり、助詞を当てずっぽうで使っている感もありました。しっかりチェックする必要がありました。
障害児向けのマルチメディア教科書「デイジー教科書」を使えば、こんなことは起こりません。
妻も最近はABAで使っていないようですが、一人でiPadのデイジー教科書の朗読を聞いていることもあり、自分なりに活用しているみたいです。
④漢字カルタは簡単だと思ってふざける
妻によると、健常児の3年生で習う漢字は「漢字カルタ」でほぼ覚えたそうです。ぼくが今回ABAで使ったのは、健常児が2年生までに習う漢字のやつです。
これまた、ほぼ完璧に覚えていました。復習というか、自信をつけてもらうための「遊びの一環」という感じで続けていました。
ただ、簡単すぎるためか、息子は途中で飽きてふざけてしまいます。
妻が横で見ていると、ちゃんとやるんですよね。やはり、ぼくではコンプライアンスが不十分なのでしょう。
あまり手応えがなかった復習ABAでしたが、妻がコロナから回復するまでの「つなぎ」としての役割は果たすことができたとは思います。
自宅療養に付き合う中で、勉強(=療育)以外の点では、これまでは見過ごしていた「ちょっとした成長」に気付くことができました。
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