「PTA活動が好きでたまらない」って保護者さんは全体の何%ぐらいいるのだろうか
妻は、息子が通う小学校のPTAの役員をしています。
学校で教頭先生と打ち合わせをしたり、配布文書を作ったり、役員間の連絡・調整をしたりと、忙しそうです。
今の時期は、次年度の役員候補を決める根回しが本格化するそうで、特に大変みたいです。
PTAの用事でパートを休まなきゃいけないこともあるし、息子が学校に行ってくれている貴重な時間に、書類作成やら気を遣った電話やメールやLINEでのやり取りやら、学校に出向いての打ち合わせに追われています。
そして、妻によると、PTA役員の保護者側に応対する教頭先生をはじめとする先生方も「大変そう」に見えます。
PTA活動への応対のせいで残業や休日出勤が増え、過度な負担になっているのかもしれません。
そんな話を妻から聞いていると、ふと思います、「PTAって誰得なんだろう?」
妻がPTA役員を引き受ける理由は明快で、「息子が学校で居心地よく過ごせるように」ということに尽きます。
学校と関わる機会が増えて他のクラスや学年の先生や児童と接することで、「●●(息子の名前)さんのママはこういう人なんだ」と知ってもらうことが重要なんです。
息子は、重度自閉症で会話もほとんどできないですし、相手の目を見てのあいさつも笑いかけることもできません。
「事情」を知っている支援学級の先生方や通常級のクラスメートはともかく、それ以外の大多数の児童や保護者さんにとって「印象が良くない」はずですので、学校内で親が「有名」になることによって、少しでもそれをフォローできればとの思いです。
PTA活動のためパートを休まなきゃいけない日もありますし、息子が学校に行っている貴重な自由時間が潰れるのは辛いですが、それを上回る「メリット」があると考えてのことなのです。
わが家はそういう事情ですが、他に「PTA役員をやるとプラスになる」という属性があるのはどういう方々だろうか
学区内で「お客さん商売」の自営業をされている方だとメリットがあるかもしれません。
「いずれ市会議員になりたい」と考えている方は、やって損はない思います。
もちろん、そんな損得や打算を抜きに「地域や子供たちのために」というボランティア精神が溢れている方も、きっとおられるのでしょうが、大部分の保護者さんにとって、PTA役員は「面倒なだけで、できれば避けたい」ものではないでしょうか。
そもそもPTAって何のためにあるのだろうか?
公益財団法人日本PTA全国協議会のサイトによると、
日本の PTA は、米国教育使節団報告書から始まった。アメリカは、日本社会の徹底した民主化を図るため、戦後いち早く教育専門家を派遣し、その基盤となって社会を支えてきた教育について抜本的な改革を進めようとした。…
公益財団法人日本PTA全国協議会「日本PTAのあゆみ 第1章 PTAの誕生と発展」より
なるほど。そして、発足初期の活動内容と成果としては、こんな記述があります。
この当時の PTA の活動は、戦後の学校関連諸制度の整備充実への要求が大きな活動の柱だった。
学校給食の制度化、2部授業の撤廃、校舎の増築、青年学級の創立、教科書無償配布、学校保健の実施など、文部行政に対して保護者の立場からの要望をまとめて要請するとともに、それを受けた文部行政の施策の実施に向けて、財政当局への要請活動を精力的に行うというものであった。
戦後の教育制度、教育の条件の整備充実に多く貢献を果たしたものといえる。
公益財団法人日本PTA全国協議会「日本PTAのあゆみ 第1章 PTAの誕生と発展」より
教育が政治や行政に呑み込まれて暴走して行った反省から教育委員会制度が生まれたのと同じような成り立ちのようです。
しかし、「学校教育の制度化」「教科書無償配布」などは先人のおかげで実現されて長いですし、これだけみると既に役割を終えているような…。
P(Parent=保護者)とT(Teacher=教職員)がA(Association=団体)を通じてともに学校運営をしていくーという理念は、今でも意義が大きいものだとは思いますが、負担が大きすぎるように見えるんですよね、保護者にも教職員にも。
PTAの制度ができたばかりの終戦直後の頃は、「男は仕事、女は家庭」という価値観が強かったでしょうし、男の仕事も第一、二次産業が多かったでしょうし、三世代同居がスタンダードだったでしょうから、マンパワーをPTA活動に供出しやすかったのかもしれませんが、今は事情が異なります。
一人で子育てされている保護者の方はもちろん、保護者2人ともフルタイムで会社勤めをされているご家庭でも、「子どもが在学中に最低1回はPTA役員をやらなければいけない」と言われても、多大な犠牲を払って時間を作らなきゃいけないわけです。
ただ、ある程度積極的にPTA役員を引き受けている保護者さんでも、「保護者と教職員の負担を減らして、もっと効率的な運営ができるのではないか」と感じている方は多いのではないでしょうか。
終戦直後みたいな大昔のことを引き合いに出すまでもなく、少子化が進んで学校に通う子ども数が年々減り、それに伴って保護者の数も学校に配属される教職員の数も減っているわけですので、その「減り分」に見合った形でPTA活動の規模も縮小していかなければ立ち行かなくなるのは当然です。
いろんな方の話を総合するに、いわゆる「伝統校」ほどPTA行事が多くて、PTA活動に思い入れの強い「先輩」が多くて、スリム化が難しいようです。
妻の、ひいてはわが家全体のQOL(Quality of Life=生活の質)を上げるためにも、PTAの効率化(近代化?)は重要な課題なのです。
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