気付いたら「こだわり」がほとんどなくなってました

先日、息子が2歳の時からお世話になっている専門の医療機関で心理検査を受けました。前回テストを受けたのが療育手帳を取得する直前の3歳11カ月の時でしたので、ちょうど4年ぶりです。

 以前に担当されていた先生(職名が分かりません)が今回も検査をしてくださり、いろいろとお話しする中で、息子の成長を実感できました。
 このサイトでは、過去の息子の様子を思い出しながら書いている記事も結構あるのですが、記憶から完全に消えていたものがいくつかあることが分かりました。それだけでも、検査を受けた意味がありました。

 この4年間で消えた「こだわり」は次のようなものです。

1.道順を変えられない
2.日常生活の順番を変えられない
3.偏食
4.触覚に関するもの

 1.は、ベビーカーで散歩を始めた未満児の頃から顕著にあって、散歩コースの道順がほんの少しでも変わると怒り、泣き叫んでいました。
 ベビーカーを押す親からしたら、たまには別の道を散策してみたいと思って試みるのですが、あまりの激しい拒否反応にいつも断念していました。

 2歳1カ月で自閉症と診断され、障害に起因する「こだわり」が背景にあるのだとようやく理解できたのですが、それまでは本当に訳がわかりませんでした。なんなんだこの子は、と。

 2.は例えば、①昼食②近所の公園③いつもの散歩コース③夕食④お風呂⑤就寝ーといったいつもの順番が変わると混乱し、受け入れられないというものです。
 これは、妻がABA(応用行動分析)の手法で少しずつ変化に慣れるようトレーニングしていったことで、「こだわり」が少なくなっていきました。3.もやはり、ABA的なアプローチで幅を広げていきました。

 全く記憶から抜け落ちていたのは、4.でした。確かに過去には苦手な触覚があって、粘土や砂を触れなかった時期がありました。
 自閉症児の「こだわり」って、慣れたものを同じように繰り返すことで安心し、少しでも新しいものは受け入れないーということなのでしょうけど、触覚という領域にも及んでいたことは忘れていました。

 先生の質問項目を聞いていて思い返すに、そういえば息子は、「匂い」「音」「服装」に対するこだわりはもともとなく、睡眠障害も自傷行為もありませんでした。
 検査では「かんしゃく」についても聞かれましたが、自分の希望が通らないと「ふてくされる」ことはあっても、感情を激しく爆発させるという感じではなかったです。

 最近の息子は、学校生活で特に顕著なのですが、大人(担任の先生や指導員さん)の関心を引こうとして「ふざける」のが一番の問題行動です。
 今回の心理検査の際も、先生と一対一での検査の時、先生の持っている書類を奪って口にくわえたり、言っていることをわざと無視したりという行為があったそうです。

 ただ、先生によると、4年前の検査時の息子は「目を合わせず、他人への関心が非常に薄い」状態だったそうで、当時と比べれば、大人の関心を引こうとふざける行為は「成長の証し」とのこと。「いつか急に伸びて、なくなりますよ」と励まされました。

 心理検査の最後の質問は、「特殊能力はありますか?」でした。そうだった、この検査では最後にこれを聞かれるんだった。あの頃は「何か特殊能力があればいいなぁ」と思っていましたが、今はどうでもよくなっています。

 で、「残念ながら何もないんですよ」と答えたのですが、先生は「偏りが少ないのはいいことです」と慰めてくださいました。なるほど、そうですよね、特殊能力は「なし」でいいですよね。

 4年ぶりの心理テストは、非常にゆっくりではありますが息子が成長していることを確認するいい機会になりました。医療機関からの帰りの車中、妻が「悩んでいたあの頃の自分に教えてあげたい」と言っていたのが心にしみました。

 そして息子は、そんな両親の感慨などお構いなしに、「ママ 夕ご飯たべたら ビールを飲みたい!」「ママ ビールを飲んだら 運転できません!」「青い滑り台 濡れていない!」「おじさんポテト(注:プリングルスのこと)買いたい!」などと、母音優先の独特なアクセントで、脈絡のないことをしゃべり続けていたのでした。 

 「こだわり」ってもともと、「ちょっとしたことを必要以上に気にする」「気持ちがとらわれる」(「デジタル大辞泉」より)といったマイナスなイメージを指す言葉で、自閉症児の特徴の一つである「こだわり」は、まさにそういう意味で使われております。しかし近年は、「食材にとことんこだわるシェフ」「こだわりの逸品」みたいに肯定的な感じでも用いられるようになっておりますので、ニュアンスが伝わりにくいかもしれません。
 心理検査の結果が出るのはクリスマス直前の予定です。4年前と同様、言語面での遅れから低い数字が出ることは覚悟していますが、結果を分析することで今後の療育に生かしていければと思っております。

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