「ものを投げる」という問題行動を消したら、「ものを並べる」という問題なし行動が出てきた

少し前に「ドアへの執着がいつまでたっても消えない」という趣旨の話を書きましたが、思い返してみると、いつの間に消えていった「執着」「問題行動」もいろいろありました。

 「ものを投げる」というのもそうでした。

ボールプールで遊ぶ息子
写真=ゲームセンターのボールプールで遊ぶ息子。いくらボールを投げても注意されないので、彼にとってはパラダイスのような場所だったはずです。当時2歳1カ月、保健所で診断名が付く直前です=2014年1月、新潟県長岡市

 未満児の頃、近所の児童館に連れて行っても、おままごとセットや積み木をポイポイ投げてばかりでした。

 「一般的な遊び方」をいくら教えても変わりません。

 力いっぱい投げないのが救いでしたが、それでも近くで遊んでいるお友達にぶつかったら大変ですので、かなり神経をつかいました。

 ものを投げるのを注意すると、途端に不機嫌になって帰りたがることが繰り返しあって、「外出が嫌いになると困るなぁ」とも心配していました。

 と同時に、ものを投げるのを必死で我慢している息子をみるのも、辛いものがありました。

「木のこん」でボール遊びをする息子
写真=子育て支援ひろば「木のこん」の階段でボール遊びをする息子。どこの児童館も階段でのボール遊びはダメでしたが、ここはOKでありがたかったです。当時3歳1カ月=2015年1月、新潟県小千谷市

 そこで妻は、児童館やゲームセンターのボールプールにあるプラスチックのボールを「トイザらス」で大量に買ってきて、「このボールはいくら投げてもいいけど、他のものは投げちゃダメ」と教えたのです。

 この方法は大成功でした。

 階段の上から息子がプラスチックボールを投げて、妻やぼくが下にいてボールを投げ返すーという遊びを家の中で延々と繰り返しました。

 朝起きてから夜寝る直前まで、ずっと階段にいました。

 妻やぼくが付き合えない時には、一人で階段を上り下りしてボールを投げて拾ってをリピートし続けました。

 家で十分に「投げる欲」が満たされているため、児童館などに行っても、おもちゃをほとんど投げなくなりました。

 おままごとセットも、ちゃんと使えるようになりました。

 また、思わぬ成果としては、階段の上り下りばかりしていたためバランス感覚が鍛えられ、ほとんど転ばなくなりました。

 これによって「ものを投げる」という問題行動は完全に消えたようにみえましたが、しばらくすると「例外」が出てきました。

 レゴブロックです。

 自閉症という診断名が付いた直後、「息子の発達の役に立つかも」と思って買ってきて、目の前でいろんな形を作って見せていたのですが、息子はレゴを投げてばかりでした。

 プラスチックボール以外のものを投げるのを見るのは久しぶりだったため、「なぜレゴだけは投げるのだろう?」と不思議に思っていました。

 今になれば理解できるのですが、自閉症児である息子は手先が不器用で、レゴを重ねてくっつけることができなかったのです。

 重ねて形を作ることができないため、投げて遊ぶしかなかったのです。

 この頃、妻は「つみきの会」に入ってABA(応用行動分析)を使った家庭療育を始めており、「ABAでレコブロックの遊び方を教えられるのではないか」と思い付き、教え始めました。

 会のテキストに沿った初級編の課題に苦戦している中で、「レゴブロックの使い方」は生活に必須なスキルではなく、教えるテーマとしてはかなり優先順位の低いものでした。

 しかし、ABAの考え方を応用して根気強く教えていくと、レゴを重ねることができるようになったのです。

 はっきり覚えてはいませんが、3カ月から半年ぐらいはかかったはずです。

息子が並べたカード類
写真=息子が台所の床に並べた絵カード。急に始まったマイブームに驚きました。当時3歳11カ月=2015年11月、新潟県新発田市

 そして、レゴが使えるようになったのを機に、「ものを投げる」という問題行動が完全に消えました。

 家でプラスチックボールを投げる遊びも、いつの間にしなくなりました。

 で、因果関係は分かりませんが、「ものを投げる」が消えたと同時に、今度は「ものを並べる」という行動に熱中するようになりました。

 家庭療育で使っている絵カードや写真カード、ジグソーパズルのピース、レゴブロック、絵本など、何でも並べるようになりました。

 児童館に行くと、おままごとセットや鉄道模型の線路、さまざまなおもちゃを規則正しく並べるようになり、他のお友達や保護者さんの注目を集めるようになりました。

おままごとセットを並べてご満悦
写真=児童館の「おままごとセット」を並べてご満悦の息子。面白いのでたくさん写真を撮りましたが、自閉症に関する予備知識がない方がご覧になったら、不気味な光景だと感じるかもしれません。当時3歳11カ月=2015年11月、新潟県新発田市

 これは、「ものを投げる」と違って、他人に迷惑を掛ける可能性が低いため、「問題なし行動」といえます。

 自閉症児が「ものを並べるのが好き」というのは本やネットで読んで知っていましたが、実際に目の当たりにするとビックリするものです。

 「噂に聞いていたのは、これなのか」と。

 ただ、この「ものを並べる」ブームも、いつの前に完全に消えていました。続いたのは半年ぐらいだったでしょうか。

 4枚目の写真は、自閉症という障害の不可思議さを再確認するために、今も眺めることがあります。

 生き直すことができるのなら、自閉症を研究する医師になってみたいです。

 このブログを続けているのも、この時に強烈に感じた「えっ…なにこれ?」という気持ちの延長からです。

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