「どうやって習得していったのか」シリーズ〜②なんでも食べる(偏食の克服)

偏食に悩む親御さんは多いと思います。アレルギーをお持ちのお子さんも結構多いようですし。「好き嫌いなく何でも食べるの子は立派」「好き嫌いがあるのは子どもがわがままで、親が甘やかして育てたからだ」なんていう価値観が廃れていった(ようにみえる)のはいいことです。
 ぼくが小学生の頃、野菜が苦手なクラスメートが給食の時間が終わっても一人で残っていて、かわいそうでした。学校で今こういう指導をしたら炎上するでしょう。

 自閉症をはじめとした発達障害がなくても偏食の子はいるでしょうし、理由はいろいろだと思いますが、わが息子の場合は「障害に伴う極度な『こだわり』」が背景にありました。

 息子は卒乳後、白米と「かにぱん」、バナナしか食べない時期が長らく続きました。おかずを全く手をつけず、白米に何かかかっていると拒否していました。
 家族3人で近所の居酒屋に行くと、メニューにあった唯一のご飯もの(TKG=卵かけご飯)を注文し、ご飯にかかっているかつお節をすべて取り除いたご飯を息子に与え、はがしたかつお節と生卵を混ぜたものをビールのつまみとしてぼくが食べていました。

 外食に行って「お子さまセット」みたいなものを見るたび、「いいなぁ、注文してみたいなぁ」と思っていました。

 せっかく卒乳したのにミルクに戻るのもしゃくですし、かといってこのままでは栄養が偏るでしょうし、「どうやって食事の幅を広げていくのか」が最大の課題でした。

 当時行った対策はこの3つです。

  • 雑穀を混ぜてご飯を炊く
  • ヨーグルト、オレンジジュースに挑戦
  • 野菜成分が入ったパンを食べさせる

 雑穀はビミョーに色が付いているので、最初はかなり警戒していましたが、案外すんなりと受け入れてくれました。
 ヨーグルトについては、導入にはあまり苦労しなかったのですが、最初に与えた特定の商品しか食べない時期が長く続きました。自閉症児によくあることだと思われますが、商品のパッケージにこだわりができてしまって、別のヨーグルトに幅を広げるのに一苦労でした。

 食べれば同じような味なのに、味覚ではなく視覚(パッケージ)で選別していたのです。皿などに盛りつけても食べません。

 オレンジジュースは一番抵抗が大きかったです。透明(水、お湯)、白(ミルク)以外の色が付いている未知の液体ですからね。

 息子のような視覚優先の自閉症児にとっては、得体が知れず最大限の警戒が必要な物体だったと思います。
 最初は強引に一口舐めさせて「頑張ったね!」と大げさに褒め、少しずつ量を増やしていきました。

 野菜スティックパンは、野菜嫌いのお子さんのために買う方が多いと思います。ありがたいですよね。「野菜成分をとっているから大丈夫」という気休めにもなりました。

 「かにぱん」→「野菜スティックパン」と幅が広げるのに成功したので、次のステップとして、肉まんに挑戦してみました。考えてみれば、パン生地の中に「おかず」が入っているわけですから、便利な食べ物です。
 肉まんを食べられるようになれば、おかずを食べられるようになるだろうという計算もありました。

 特に警戒感もなく食べ始め、導入はスムーズにいきました。でも、周りの皮だけ食べて、あんの部分のキレイに残していました。4〜5個パックの冷凍肉まんを当時買っていましたが、あんの部分がたくさん残るで、これはビールのつまみになっていました。
 オレンジジュースの時と同じように、あんが浸みて茶色い部分を少し食べさせては大げさに褒めるーという手を使いました。

 そんなふうにゆっくりと「食べられるもの」の幅を広げていく中、大きな転機となる食品と出合いました。「鮭プッチン」です。
 息子が2歳半ぐらいの頃、近所のスーパーで「こういうのを食べてくれるといいなぁ」と何となく買ってみて、大当たりでした。

 息子にパッケージ(瓶)を示し、白米にかけるところも見せた上で与えると、何の抵抗もなく食べ始めたのです! それ以降、毎日・毎食「鮭プッチン」という日々が半年ぐらい続きました。

 当時は何も考えずに買っていたのですが、この文章を書くにあたってネットて調べてみたら、地元メーカー「三幸」(本社・新潟県聖籠町)の人気商品なんですね。

 三幸さんのHPから商品説明を引用すると、「お弁当、おにぎりに人気ある「鮭フレーク」と子供が大好きなプチプチ食感「カラフトししゃも卵」とコクある「たらこ」をいっしょにソフトタイプのふりかけにしました。」ということです。以下は、「鮭プッチン」以降の展開です。

  • 「ご飯にかけるもの」系
     「鮭プッチン」→「ふりかけ」→「しらす干し」→「納豆」→「カツ丼、カレーなど」
  • 「魚」系
     「鮭プッチン」→「鮭ほぐし瓶詰め」→「焼き鮭」「サーモンの刺身」→「鮭以外の焼き魚」「サーモン以外の刺身」

 自閉症特有の「こだわり」を克服するきっかけさえつかめば、スムーズに幅が広がっていくという好例です。息子の場合は「鮭プッチン」でしたが、そのきっかけとなるものは、お子さんによっていろいろだと思います。

 過度に思い詰めず、軽い気持ちで新しいものを試しているうちに、「当たり」に遭遇するかもしれませんよ。

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