感覚統合に関する記事を読んだら、なぜ息子が最近「自分でやりたい!」と言って家事に熱心なのか分かった

ここ数カ月ぐらい、息子は「自分でやりたい!」「一人でやる!」と口ぐせのように言い続けています。いいことです。

 少し前にも同じようなテーマで書きました。

 前回の記事でご紹介した「LITALICO(りたりこ)発達ナビ」記事「『感覚統合』とは? 発達障害との関係、家庭や学校でできる手助けまとめ」から再び引用します(蛍光マーカーと改行は筆者)。

 子どもにはもともと「成長したい!」「自分でやりたい!」という欲求があり、この欲求に従って、子ども自身がまるで積み木を積み重ねるように発達の段階を踏んでいきます。

 しかし、この段階はそれぞれ多少順序が入れ替わったりとばされたりしても次の発達段階に進めるようになっていて、そのため見た目上では感覚統合の発達が進み、順調に成長しているとみなされることが多いのです。

LITALICO(りたりこ)発達ナビ「『感覚統合』とは? 発達障害との関係、家庭や学校でできる手助けまとめ」より引用

 なるほど、息子の口ぐせは、すべての子どもに備わっている欲求から来ているものなのか。

 この記事では、「発達段階のある過程が抜ける」と成長面で問題が起こることが指摘されています。

 事前に土台がしっかり築かれていないと、本人がせっかく意欲的に新しい行動にチャレンジしてもうまくいかず、問題行動になってしまう恐れがある、ということのようです。

 記事の「感覚統合につまずきがあるとどうなるの?」という部分に挙げられている項目を、現在の息子に当てはめてみました。

①感覚面
・触られることを極端に嫌がる
・ドライヤーや泣き声など特定の音が嫌いである
・自分で頭を叩く
・いつまでもジャンプする
②情緒面
・不注意、集中ができない
・順番が待てない、すぐに怒る
・気分の切り替えができない、こだわりがある
③言語面
・言葉が出てこない
・話しかけても振り向かない
・自分が思っていることをうまく言えない
・助詞の間違い
④対人面
・友達とうまく遊べない、みんなと同じ行動ができない
・ルールの理解ができない
⑤動作面
・じっとしていられない
・跳び箱、縄跳びやボール投げなどが大きな運動が苦手
・ひも結びや箸の使い方など細かな運動が苦手

 「克服できているもの」に取り消し線を引いてみました。

 「調子がいい時には可能」といったものも含めた、かなり甘めの採点ですが、幼い頃と比べればだいぶ感覚統合が進んでいる感じはします。

 息子の場合、「感覚面」はもともと問題が少なく、「情緒面」「動作面」については、家庭療育とミュージックセラピーの効果で傾向が「薄くなって」きました。

 「言語面」は今後の最大の課題ですが、「自分が思っていることをうまく言えない」という項目に関しては、自らの要求・希望を伝える際にのみ高い能力を発揮するようになりました。

 必要に迫られれば自然にできるようになるのでしょう。

 ちなみに、「対人面」に関しては、そりゃあ傾向が薄くなれば社会生活は送りやすくなるでしょうが、「自閉症なんだからどうしてもそうなっちゃうよね」という思いもあって、あまり焦っていません。

 こうして分析してみて気付いたのですが、息子が「自分でやりたい!」といってここ半年ぐらい挑戦している家事って、「感覚面」「動作面」と「情緒面」がある程度整ってくればできるものなんです。

 そして、この三つの分野のレベルが上がると、家事のレベルも上がります。

台所で鍋を洗う息子
写真=台所で鍋を洗う息子。両親が飲み終わったビールの缶をすすいで台所に並べる作業もしてくれます=2021年6月、新潟県新発田市

 使い終わった食器をシンクに持って行き、最初に軽く水洗いをしてざっと汚れを洗い流し、スポンジに適量の洗剤を取って泡立て、手を滑らせないように食器を持ちながらスポンジでこすり、しっかりと汚れが取れていることを目で確認し、泡がなくなるまで十分に水ですすぎ、水切り棚に並べる。

 食器洗いの作業を細分化して言葉で説明してみました。

 こうした一連の動作は、健常者は無意識にできるでしょうし、健常のお子さんも見よう見まねで「なんとなく」できるようになるでしょうが、自閉症児はそうはいきません。

 スポンジを握った感じや食器用洗剤のヌルッとした感触に慣れる必要がありますし、落とさないけれど壊れないぐらいの適度な強さで食器をつかむことも覚えなきゃいけませんし、汚れがなくなっているかどうが目視で確認できるだけの観察力も求められます。

 始めたばかりの頃は、妻が付きっきりで、息子が作業を終わらせた後にすべての食器を洗い直していましたが、最近はほとんど洗い直しの必要がないレベルにできるようになったそうです。

 「感覚面」「動作面」「情緒面」が整ってきたからある程度自分の思い通りに体を動かせるようになり、「成長したい!」「自分でやりたい!」という欲求も満たされ、両親にすごく褒められるわけですから、息子が家事に熱心に取り組むのも分かります。

いつも一緒にいるとマイナス面が目について怒ってばかりいるけど、家事が上手になってくれて助かるし、本当は『いい子』なのかもしれない

 こんなふうに、ママを懐柔するのにも成功しています。

 感覚統合の記事に戻ると、まだ手付かずの「言語面」「対人面」が克服できれば、息子の世界はさらに広がるはずです。

 この二つにある程度のめどがついたら、「友達・彼女をつくる」にぜひ挑戦してほしいものです。

 ただ、その前提として、息子の心の中に「友達・彼女がほしい」という思いが芽生える必要があります。来るのだろうか、そんな日が。

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