デイジー教科書!これは素晴らしい!!

「デイジー教科書」って聞いたことがありますか?
 正式名称はマルチメディアデイジー教科書。デイジー(DAISY)は「Digital Accessible Information SYstem(アクセシブルな情報システム)」の略で、(公財)日本障害者リハビリテーション協会が製作している障害児向けの教科書です。

 (公財)日本障害者リハビリテーション協会のサイト「エンジョイ・デイジー」から引用します。

2008年9月17日施行の「教科用特定図書普及促進法(教科書バリアフリー法)」「著作権法第33条の2」の改正により、LD(学習障害)等の発達障害や弱視等の視覚障害、その他の障害のある児童・生徒のための「拡大教科書」や、デジタル化された「マルチメディアデイジー教科書」等が、製作できるようになりました。

(公財)日本障害者リハビリテーション協会では、2008年の9月よりマルチメディアデイジー教科書を通常の教科書では読むことが困難な児童、生徒に、提供を始め、2012年度より、当協会を中心にボランティア23団体(下記参照)と協力を組み、より多くの読むことに困難のある生徒に提供をしております。…(以下略)

(公財)日本障害者リハビリテーション協会「エンジョイ・デイジー」の「マルチメディアデイジー教科書について」より

 ぼくは、iPad miniを買ったのを機に「息子の療育に役立つアプリはないか」とApp Store内を物色している中で存在を知りました。

 息子が通う小学校の支援学級では使われていないようですが、支援学校や障害者福祉施設向けにこうした専門的サービスがあるだろうなということは想像できますし、非常に重要な取り組みだと思います。

 このデイジー教科書がすごいのは、個人でも利用でき、しかも無料なんです。
 支援級の子が、自宅でも使えるのです。

 デイジー教科書は、この協会のサイトから利用申請をすることができます。

 申請フォームに沿って、申請者(保護者)の住所・氏名、子ども(教科書を使う児童・生徒)の通っている学校名、在籍学級(支援級かどうかなど)、「主な読みの困難さ(勝手読みをしてしまう、ひらがなが読めない、などなど)」、診断名、受けている支援ーなどを記入した上で、提供を希望する教科書を選び、フォームを送信します。

 協会が申請内容の確認後、承認通知がメールで送られてきます。

 サイトの説明には「1週間ほどお待ちください」とありましたが、ぼくのところには申請から5日後にメールが届きました。

 メールには「ログイン名」が記載されておりますので、申請時に自分で登録したパスワードとともに入力し、教科書をダウンロードします。

 サイトにも書いてありますが、デイジー教科書を提供した生徒が所属する学校名、学年、教科、出版社名は文部科学省に提出され、デイジー教科書を使用した際の感想などのアンケートに協力する必要があります。

 デイジー教科書、本当に素晴らしいんです。

 療育にも余暇スキル(暇つぶし)にも大いに役立っております。

iPad miniでデイジー教科書の読み上げを聞く息子
写真=iPad miniに入れたデイジー教科書の読み上げを聞く息子=2020年11月、新潟県新発田市

 息子は昨年の今ごろ、支援級で使っていた国語の教科書「こくご 二上 たんぽぽ」(光村図書)がマイブームで、学校から家に帰ってきても休日で外出しようとも、常に教科書を持ち歩いていました。

 「スイミー」が大のお気に入りで、暇さえあれば暗唱していました。

 また、学校からいただいた教科書があまりにボロボロになってしまったため、楽天ブックスで同じ教科書を買い(定価の4倍近くかかりました)、3学期に持たせました。

 ストーリーをどの程度理解していたのかは不明ですが、学校で使っている教科書をこれほど偏愛し、谷川俊太郎さんが訳した物語を何度も何度も暗唱する姿をみるのは、障害児の親としてはとても幸せでした。

 しかし、気になることもありました。

 彼は「スイミー」を全部丸暗記してしまうと、覚えた文章をいかに早く暗唱するかという部分に気をとられるあまり、肝心の「読み」がどんどんいい加減になっていったのです。

 さらに、丸暗記してしまうと、教科書を目で追いながらゆっくり読むという動作ができなくなってしまいました。

デイジー教科書の「ミリーのすてきなぼうし」
写真=iPad miniで再生したデイジー教科書「こくご 二上 たんぽぽ」(光村図書)の「ミリーのすてきなぼうし」

 デイジー教科書は、文章を読み上げる音声と同時に、読み上げている部分の文章に黄色い蛍光マーカーみたいな印が付き、「今どの部分を読んでいるのか」が一目で分かります。

 息子は読み上げと連動して動く蛍光マーカーに興味を示しました。
 画面の文字を目で追いながら、読み上げを聞いてくれます。

 息子は暇つぶしにデイジー教科書を再生することもありますが、家庭療育で使う際には、

  • 普通に再生して、読み上げを聞きながら文字を目で追う
  • 音量をゼロにして、動く蛍光マーカーに合わせて音読をする

というステップを踏むと効果的かもしれません。

 お子さんの好みや習熟度に合わせて、読み上げのスピードなども変えることもできます。

 わが家はiPad miniを買ったことを機に導入しましたが、 Androidのタブレットでもパソコンでも使えます。

 再び、(公財)日本障害者リハビリテーション協会のサイト「エンジョイ・デイジー」から引用します(太字は筆者)。

DAISYとは、(略)…視覚障害者や普通の印刷物を読むことが困難な人々のためのアクシブルな電子書籍の国際標準規格として、50カ国以上の会員団体で構成するデイジーコンソーシアム(本部スイス)により開発と維持が行なわれている情報システムを表しています。

(公財)日本障害者リハビリテーション協会「エンジョイ・デイジー」の「DAISYとは」より

 国際的な取り組みなんですね。素晴らしい。

 DAISY化した児童書などもあって、協会サイトから購入することができます。

 わが家では使い始めたばかりですが、これは力強い味方になってくれそうです。

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