カサンドラ症候群のママさんから「『急がない競わない比べない』という心境には絶対になれない」というご意見が寄せられました

先日、このサイトのタイトルを変更し、変更した理由などを書いた記事をアップしたところ、いつも読んでくださっているというママさんからメッセージをいただきました。

 先日アップした記事はこちらです。

 ご本人の許可を得た上で、いただいたメッセージを断片的に引用します。

素敵なご両親。息子さんは幸せだと思います。

 ありがとうございます。妻とぼくも、「素敵」という感じからはほど遠いキャラで、楽観的かつテキトーな人間です。

 息子が幸せだとは、ぼくも妻も確信しています。彼はいつもふざけて笑っていますので。

私はなかなかそこまで達観できません。

 息子は今ちょうど10歳で、自閉症という診断名が付いたのが2歳1カ月の頃ですので、障害を認識して息子と付き合った期間は約8年となります。

 自閉症が重いことが、知的障害が伴う古典的な「カナー型」であることが次第に分かってきました。特定の分野でずば抜けた才能を発揮する、いわゆるサヴァンでないことも分かってきました。 

 そんな息子を育てるのには、サイトのタイトルにした「急がない競わない比べない」は、ぴったりの言葉だと思っています。

 「達観」と言われれば、そうなのかもしれません。そう考えるしかないですし、そういう考えに至ったのは自然なことだと思っています。

時系列で成長したって、褒められたもんではないから!

 この方のお子さんはきっといろいろな能力が高く、それゆえ「もっと早く成長してほしい」という期待も高くなってしまうのかもしれません。

 いろんなお子さんがいるでしょうし、いろんなご家庭があるわけで一概には言えませんが、きっと苦手な分野もあるでしょうし、気が乗らないこともあるでしょう。

 お子さんなりのペースでの成長をそっと見守られるといいかと…。

夫を他の旦那さんと比べないとか無理だから!

 そっちかい!

変わらないんだと思う。たぶん一生。

 そうなのですね…。

 旦那さんは、診断は受けていないそうですが、ASD(自閉症スペクトラム障害)の傾向が強くみられるのだそうです。

 専門職に就いていて職場ではソツなく仕事をこなしているようだけれど、家では家族に対して思いやりや社会性に欠けた言動が多く、「相手の話を聞かないで自分の話したいことだけ話して、話し終わるとスマホでゲームを始めて無反応」など、夫婦間のコミュニケーションもなかなか成立しないとのことです。

 で、このブログをお読みになって、旦那さんに対してABA(応用行動分析)的なアプローチで接してみたところ、改善の兆しがみられたそうです。素晴らしい!

 だけど、そのうち「私はこの人の母親ではなくパートナーなのに、なんでこんなことをやっているのだろう」という気持ちになり、「アホらしくなって」やめてしまったとのことでした。

 確かに、旦那さんへの家庭療育を「急がない競わない比べない」って心境で根気よく続けていくのがかなりキツいことは容易に想像できます。言葉は悪いですが、「チョー生意気なガキみたいなオッサン」なんでしょう、たぶんきっと。

 義実家に旦那さんを連れて行って、義母さんに「ちゃんと成長できたら送り返してください」と言いたくもなるのでしょう。

 この方から「カサンドラ症候群」という言葉を教えていただきました。

 「LITALICO仕事ナビ」の記事「カサンドラ症候群とは?アスペルガー症候群のパートナーとの関係性、症状や原因、治療法を紹介します」によると、定義はこうです。

カサンドラ症候群とは、家族やパートナーなど生活の身近にいる人がアスペルガー症候群(現在の診断名は自閉症スペクトラム障害、以下ASD)であることが原因で、情緒的な相互関係を築くことが難しく、心的ストレスから不安障害や抑うつ状態、PTSD(心的外傷後ストレス障害)などの心身症状が起きている状態を指す言葉です。

LITALICO仕事ナビ「カサンドラ症候群とは?アスペルガー症候群のパートナーとの関係性、症状や原因、治療法を紹介します」より引用

 なるほど。

 この記事によると「ASDの発現は男性に多いため、パートナーとなる女性側にカサンドラ症候群の発生割合が高い」と言われているそうです。

 いわゆるアスペルガー、言語と知的な遅れがないASDの方たちは、能力の高さゆえに家庭やパートナーを得ることはできても、それを持続していくことに困難を抱えるケースが多いのかもしれません。

 ASDの男性側からすると、「オレは君と交際に至るまで、結婚にこぎつけるまで一生懸命頑張ったし、対人関係が苦手なのに職場でも日々必死で頑張っているんだ。だから、せめて家では好きにさせてくれよ」って気持ちなのでしょう。なんとなく想像がつきます。

 対して、パートナー(被害者)である女性の側からすると、「釣った魚にエサをやらない」(そもそもこの表現は対等な人間関係を想定していない気がしますが…)ってことでしょうし、「だまされた!」と感じる方もおられるかもしれません。

 カサンドラ症候群の具体的な成立要件は、こういうことのようです。

ASDやカサンドラ症候群に関する研究が多くある英国の心理療法家マクシーン・アストンによると、カサンドラ症候群には以下3つの要素があるとされています。
1. 少なくともいずれかのパートナーに、ASD特性などによる、共感性や情緒的表現の障害がある
2. パートナーとの関係において情緒的交流の乏しさを起因とした激しい対立関係、精神または身体の虐待、人間関係の満足感の低下がある
3. 精神的もしくは身体的な不調、症状(自己評価の低下、抑うつ状態、罪悪感、不安障害、不眠症、PTSD、体重の増減など)がある

 なるほど。

 離婚原因のトップに挙げられる「性格の不一致」の「すごく激しいバージョン」って感じでしょうか。

 それにしても、精神的な不調にまで結びつくのですから極めて深刻です。

 「別れりゃいいじゃん」と第三者は気楽に言うでしょうが、そういった問題を補って余りある魅力が他にあるのかもしれませんし、別れられない事情もあるのかもしれません。

 こんな記述もありました。

ASDのあるパートナーが一定以上の社会適応性を身に着けている場合、職場などの外向きの環境ではうまく行っているものの、家庭や身近な人とのプライベートな空間の中でのみ関係性の悪化が起きるケースがあります。パートナーや家族だけがそのつらさを感じている場合、外側からは見えにくいのです。
そのため、問題に直面しているカサンドラ症候群の当事者側の問題が軽く扱われたり、否定・批判されたりするなど、さらに強いストレスにさらされることもあります。

 外から見えにくく、理解してもらいにくく、問題を軽く扱われやすい。カサンドラ症候群の「しんどさ」は、この部分に最も集約されているように思えます。

 これではまるで、「外面はいいけど家では暴君として振る舞う気弱なモラハラ気質ポンコツ男」ではないですか。

 「一定以上の社会適応性を身に着けている」のであれば、交際や結婚前に「見破る」のも難しそうです。

 というか、背景にASDがあるかどうかに関係なく、古き悪しき「暴君型オヤジ」の奥さんはみんな、カサンドラ症候群みたいな環境に置かれていると言えるかもしれません。

 こういう夫(パパ)を対象にした専門的な「療育の場」が必要なのかもしれません。ABAセラピストの方々にとって大きなビジネスチャンスとなるかもしれません。

 また、成立要件の部分にあった「パートナーとの関係において情緒的交流の乏しさを起因とした激しい対立関係、精神または身体の虐待、人間関係の満足感の低下がある」という部分は、「パートナー」という言葉を「子ども」に置き換えると、ASD児を育てる保護者にも当てはまるような気もします。

 障害児(者)と関わる家族への支援というと、「障害児のきょうだい(きょうだい児)」の問題については知っていましたが、アスペルガー症候群がある人のパートナーにも支援が必要であるということは、今回初めて知りました。

 検索してみると、カサンドラ症候群の人たちを支援する組織や自助グループもあるようです。

 知的な遅れがない(むしろ平均より高い)ゆえに自閉傾向があっても何とか社会で生き抜いてこれているけれど家族を疲弊させてしまっているアスペルガー夫のケースと、知的な遅れがあって障害も重いため幼児期から福祉的なケアを受けている子どもでは全然違うのですが、ともに暮らす家族が感じているつらさが「外から見えにくい」という点は似ているのかもしれません。

 いずれも、身近な友人・知人との雑談で話しにくいテーマでしょうし。

 近年は発達障害についての理解が広がってきていますので、知的な遅れがないASD児も早期療育を受ける機会が増え、そういうお子さんが成人して家庭を持つ時代になれば、カサンドラ症候群になる女性は減るのかもしれない…と想像してみたのですが、そう簡単にはいかないのでしょうね、きっと。

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