コーネリアス小山田圭吾氏の大炎上から得られた「学び」②〜立派な理念を掲げる「一流芸能人」御用達の私学で必ずしも立派な教育が行われているわけではない

コーネリアス小山田圭吾氏がまだ燃えています。

 五輪組織委が小山田氏は「高い倫理観がある」ので留任させると発表してしまっていますので、一転して解任を決めるか五輪開会式が終わるまでは燃えるづけるのは致し方ないでしょう。

 …と、ここまで書いていたら、小山田氏が「五輪開会式の楽曲担当を辞任」との速報がスマホに流れてきました。2021年7月19日午後7時20分ごろです。

 この炎上を巡って芸能人やタレント、文化人といった方々がいろいろとコメントしていました。

 毎度毎度すごいなぁと思って眺めているのですが、どうコメントすれば目立てるのか、皆さんがそれぞれに創意工夫を凝らし、生き残りをかけたポジショントークしています。ストレスがたまる稼業だと思います。

 わざと嫌われるようなことを言う「逆張り」で自らを目立たせてビジネスにつなげているふうな方も見受けられますが、そういう方々にとって、二十数年前から同種のビジネスを展開されている小山田氏は「その道の先駆者・大ベテラン・大先輩」って感じなんでしょうね、きっと。頼もしいぜ。

 現政権を擁護するスタンスの方々が小山田氏を擁護しているケースが多いように見えるけれど例外も結構あったりして、攻守が激しく入れ替わったりもして、眺めているとなかなか興味深いものがあります。全く生産的ではありませんが。

 時事YouTuberという肩書きで活動されている「たかまつなな」さんのツイートが「5ちゃんねる」で叩かれていました。

 「小山田氏を擁護している」と受け取られて批判されていましたが、このツイートにそういう意図はないと思うんですよね。ちょっと気の毒です。

 ぼくも「たかまつなな」さんと同じスタンスだと思っていて、小山田氏を個人攻撃するよりも、わが息子をはじめとした障害児(者)が生きやすい社会を作っていけるか、この炎上から教訓というか「学び」を得ることが大事だと考えております。

 だいたい、個人攻撃も何も、小山田氏が昔も今も「人間のクズ中のクズ」であることはまるで争いのないことでしょうから、そんな「人間のクズ中のクズ」に対して「あなたは本物の『人間のクズ中のクズ』ですよね?」と問い掛けたところで、お互いに「そうだよねー」と確認し合って終わってしまうだけでしょうから、はっきり言って小山田氏個人のことなど、どうでもいいです。

 小山田氏は「人間のクズ中のクズ」なわけですが、小山田氏が陰惨な「障害者いじめ」を行っていた舞台である和光学園(東京都町田市)が、障害の有無など多様な背景を持つ子どもを受け入れる共同教育」を伝統的に導入している非常に立派な教育機関であることは、今回の炎上騒ぎで初めて知りました。

 和光大学の名前は聞いたことがありますが、首都圏の事情に疎いもので、埼玉県和光市にあるのだと思っていました。

 Google検索で偶然見つけた「京都女子大学発達教育学部紀要 2020 第16号」に掲載されている論文「和光学園における「共同教育」の提唱と盲児の統合教育─映画『みんなでうたう太陽のうた』(1978年)─」から引用します(改行、太字、蛍光マーカーは筆者)。

⑶ 多様性の尊重
和光学園の幼稚園,小学校,中学校,高等学校は,実に多様な子どもたちで構成されていた。
公立学校で“いじめ”や不登校を経験した子どもたちが在学していたし,学習の遅滞から一年遅れで入学してきた子ども,在日韓国人の子弟や帰国子女,麻痺で片手の使えない子ども,小児麻痺の子どもなどが在籍していた。…
そうした子ども集団に,障害の明確な子どもが「共同教育」ということで加わっても,子ども集団が違和感を感じるような風土はなかった。
すなわち,和光学園は,多様な子どもたちを包摂してきて,それが伝統となっていた。そこに「共同教育」が加わっても,内部,とくに子ども集団にはとりたてて変化をもたらすものではなかったのである。

京都女子大学発達教育学部紀要 2020 第16号「和光学園における「共同教育」の提唱と盲児の統合教育─映画『みんなでうたう太陽のうた』(1978年)─」より引用

 また、雑誌「CREA」のサイトに「一流芸能人の子どもが通う“和光学園”は何がスゴイのか?」と題する記事も載っていました。

 こちらは、タイトルだけでお腹いっぱいになる感じですので、内容には触れません。

 しかし、今どき「一流の芸能人…」なんてタイトルを付けるこの雑誌、どんな読者層を想定しているのだろう。一流に憧れる「1.5流を自称するパンピー(死語)」あたりなんでしょうか。

 まあ、いろんな意味で「すごい学校」のようです。

 小山田氏の辞任が報じられる前にYahoo!ニュースに掲載されていた日刊スポーツの記事「小山田圭吾氏辞職せず「本来なら辞退すべきだったかも」謝罪し職全う意向」から引用します。

…「だけど僕が直接やるわけじゃないんだよ、僕はアイデアを提供するだけ(笑)」(原文まま)と語り、…

Yahoo!ニュース・日刊スポーツ「小山田圭吾氏辞職せず「本来なら辞退すべきだったかも」謝罪し職全う意向」より引用

 引用部分の前後にいじめの具体例が書いてありました。

 和光学園で行った小山田氏の「障害者いじめ」は、密室での小山田氏が行った単独犯ではなく、複数の児童・生徒が関わった組織的犯行であったことが分かります。

 「直接やるわけではない」というコメントに対し、ネットでは「責任逃れて言っいるのでは」との指摘がありましたが、たぶんそれは違います。

 「アイデア提供するだけで自ら手を下さない方が、立場が上でカッコいい」と考えて、あえて触れているのだと思われます。

 ヒトラーもスターリンもポルポトも自らの手で大量殺戮はしなかったでしょうしね。

 ネット用語の「やるなら軍師」ってやつです。さすが小山田氏、清々しいまでの「人間のクズ中のクズ」ぶりがクールですねw

 しかし、和光学園に当時いた教員たちは、倫理観のかけらもなさそうな小山田氏を含む「障害者いじめ」グループの「凶悪犯罪」に目が届いていなかったのでしょうか?

 小山田氏みたいな子どもを教え導くことなく、一緒の空間にいる障害児をいじめ抜くことが、和光学園がいうところの「共同教育」なのでしょうか?

 和光中学校の卒業生という「馬鈴薯とクローバー(Three Leaves Shamrock )」さんのツイートを引用させていただきます。

 こういった証言は今後、どんどん出てくることでしょう。「CREA」が言うところの「一流芸能人」のコメントも待たれるところです。

 先ほど挙げた論文の最終章には、こんな記述があります(改行、太字、蛍光マーカーは筆者)。

映画『みんなでうたう太陽のうた』は,すべての全盲幼児は障害のない子どもと一緒に教育できるとか,障害児の教育は障害のない子どもと一緒でなければならないという主張をするものではない。
しかし,盲児及び障害児が,障害のない子どもとともにある通常学級を希望し,通常教育側が和光学園のように,教師が一丸となる職場であり,一人ひとりを大切にした教育を行い,質のよい通常教育であるなら,障害のない子どもとの教育は可能であることが示されたといえよう。

京都女子大学発達教育学部紀要 2020 第16号「和光学園における「共同教育」の提唱と盲児の統合教育─映画『みんなでうたう太陽のうた』(1978年)─」より引用

 卒業生・小山田圭吾君の陰惨な「障害者いじめ」と並べてこの論文を読むと、いろいろと疑問が浮かびます。

 もともと立派な理念のもと立派な「共同教育」が行われていたが、小山田少年が入学した頃に崩壊してしまったのか。

 はたまた、もともと学園の伝統として昔から「障害者いじめ」はあったけど、教師らは知らなかったのか。

 あるいは、見て見ぬ振りをして、障害者たちを「見殺し」にし続けてきたのか。

 あるいは、全体としては素晴らしい「共同教育」が続けられてきているのだから、大局的にみれば、大昔にあった小山田少年グループの「障害者いじめ」など枝葉の取るに足りない「どうでもいいこと」なんだと認識しているのか。

 どれが当てはまるのは分かりませんが、少なくとも、この学園で理想的な共同教育を実現しようと長年頑張ってきた教職員の努力を無にし、顔に泥を塗ったことは間違いないでしょう。

 小山田氏の一連の大炎上によって学園のブランド価値は下がるでしょうし、学園側でも対処法を検討されていることでしょう。

 不祥事を起こした企業・団体がよくやるような、弁護士や外部有識者らで外部委員会を作り、再発防止策を作って公表するーといった「ありがち」なパターンが始まるかもしれません。

 その際には、小山田氏が学園に在籍していた時代と「障害者いじめ」インタビューが掲載された時代に学園の運営や教育に関わった人たちの証言をできるだけ多く集め、「当時なぜ対処できなかったのか」「小山田氏のインタビューが出た後になぜ対処できなかったのか」を徹底的に検証していただきたいです。

 文部科学事務次官を務めた前川喜平さん「もう一つ衝撃的だったのは、そのいじめを放置していた学校が和光学園だったことだ。」と書いたことの重みをしっかりと受け止めてほしいものです。

 このままでは、ぼくも含めた障害児の保護者たちに「専門家が唱えるインクルーシブ教育は、実は『障害児の敵』なのではないか?」という強い疑念が広がることは避けられないでしょう。

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