自閉症児の園芸家修業

気温が上がってきて、マスクが息苦しくなってきました。そして、3月にタネをまいた春の葉物野菜はほぼ終了し、夏野菜の準備をする時期に入りました。

 息子が通う小学校では毎年、野菜を育てています。昨年はミニトマトやナス、ピーマンを大量にいただきました。
 ことしはどうするのかと思っていたら、少し前に担任の先生から「ことしは何にしますか」と聞かれたそうです。

 ぼくが小学生の頃というともう40年前のことですが、学校で植物を育てたというとアサガオとヘチマぐらいで、栽培を希望する野菜を児童一人一人に聞くなんてことはありませんでした。
 きめ細やかな教育に「ありがたい」と感謝すると同時に、「こんな細かい仕事が増えたから、学校の先生は残業が多くて休みも取れないんだろうなぁ」と同情してしまいました。

 でもまあ、聞かれたので、「ゴーヤとカボチャをお願いします」とお答えしました。どちらも、わが家の家庭菜園で育てる予定がない野菜です。
 ここ1ケ月、葉物野菜を買っていませんが、ことしの夏は、野菜を一切買わないで過ごせるかもしれません。

収穫期を過ぎて咲き誇るチンゲンサイの花
写真=収穫が遅れ、とう立ちしてしまったチンゲンサイ。見た目はほぼ「菜の花」です=2020年5月、新潟県新発田市

 息子は最近、畑の葉物野菜を園芸用ハサミで切るのがお気に入りです。
 収穫の時期を逸したチンゲンサイとコマツナがとう立ちして黄色い花を咲かせているので、「黄色い花は切っていいよ」と言っておきました。

 種から育てて畑に移植したばかりの夏野菜の苗は彼に切られないように守らなきゃいけませんが、これらの葉物野菜はそろそろ刈り取ろうと思っていたので、ちょうど良かったです。

 とう立ちしているとはいえ、柔らかい葉っぱはまだ食べられます。
 息子がチンゲンサイを切ってくると、美味しそうな葉っぱをちぎって洗い、マヨネーズを付けてその場で食べさせています。ワイルドな食育です。

 野菜の栽培を覚えれば、彼の将来に何か役立つかもしれません。役立たないとしても、興味の幅が広がればいいなと期待しています。

チンゲンサイの花を収穫する息子
写真=チンゲンサイの花を収穫する息子。邪魔だからと引っこ抜かなくて良かったです=2020年5月、新潟県新発田市

 庭で作業をしていると、ストーカーのようにぼくに付いてきて、なんでも真似しようとします。自閉症児で基本的に模倣は苦手なのですが、好きなことは覚えが早いようです。

 ただ、「加減」を教えるのが難しいんですよね。育苗ポットで種から育てていた空芯菜は、息子が水をやり過ぎて苗が腐ってしまったため、まき直しました。

 さらにことしは、JAグループがやっている「バケツ稲づくり」に初めて挑戦してみました。

 都市部ですと学校単位で取り組んでいるようですが、これ、いいですね。
 地方在住でも実家が農家でないと稲作は経験できませんので、ありがたいです。

 わが家の場合は、妻のつてで栽培キットをいただきましたが、個人でもJAグループのホームページから申し込めるようです。
 興味がおありの方はこちらをご参照ください。

 息子が通う小学校は本日から授業を再開しました。平穏な日々が1日でも長く続くことを祈念しております。

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