ママの生死がかかった「添い寝禁止令」を息子はちゃんと守ってくれている

今お腹に強い衝撃が加わると、妻は即死してしまうそうです。本人がそう言っています。

 さすがに即死することはないでしょうが、手術が終わってすぐの現段階でお腹に力が加わると激痛が走り、再入院となることは間違いないようです。

 入院時に缶ビールを持ち込んだことはバレなかったようですが、そういうことをしそうな人間であることはドクターや看護師さんに見透かされていたのでしょう。

 「この患者には強く言わないとダメだ」「ちょっと脅かした方がいい」と。

 医療関係者にはきっと、人を見る目が確かな方が多いのでしょう。ありがたいことです。

 そのおかげもあって、妻は退院後、おとなしく過ごしております。

 車の運転も自転車に乗るのも禁止ですので、買い物や庭の水やりは、ぼくが家にいる間にやっています。

 これらはなんとかなるのですが、一番心配だったのは、息子が寝ている時、無意識に妻のお腹を「攻撃」することでした。

 日中に抱きつこうとしてくるのであれば、「ママ病気だから今はできないよ」と言って制すれば理解してくれるはずですので問題ありません。

 わが家ではいつも2組の布団を並べて敷き、息子を真ん中に3人が「川の字」で寝ています。

 そして、愛情表現の一環なのでしょうが、寝ている時に息子は、隣で寝ているママの胴体を両足で挟みながらハグしてきます。

 妻が健康な時であれば「甘えん坊な可愛いヤツ」で済むのですが、今それをやられると命に関わります。

 とはいえ、7日間もママがいない生活を続けてきたのに、せっかく戻ってきて甘えられると思ったら今度は寝室が別ーというのはあまりにも可哀想です。

 退院初日、妻と真剣に対処法を議論しました。

 最初に浮かんだアイデアは、「寝る時にドラム缶のようなものをはめてお腹を保護する」でした。

 でも、そんな特殊で需要がなさそうな商品はコメリ(地元のホームセンター)でも扱っていないでしょう。

 現実的な案として、「家にある大きなクマのぬいぐるみをお腹に縛りつける」というものも出ました。

 実際に縛り付けてみました。なかなかいい感じです。

 しかし、妻も息子も寝相が悪いので、お腹が保護された状態が朝まで続いているのかどうか心もとありません。

 いろいろ考えた末、ぼくが「川の字」の真ん中で寝て、防波堤のような役割を果たすーということにしました。

布団に寝転びながら電卓で遊ぶ息子
写真=布団に寝転びながら電卓で計算する息子。楽しいみたいです=2021年4月、新潟県新発田市

 息子にとっては、事実上の「ママとの添い寝禁止令」です。

 かんしゃくを起こして反発することも覚悟していましたが、息子は新しい「川の字」に文句も言わず、ご機嫌なままネンネしました。

 夜勤でぼくがいない夜には、「こっちで寝る!」と言って少し離れた場所に寝転び、手をつなぎながら眠るとのことでした。

 これには驚きました。防波堤がなくても、一定の距離を保ち続けることができるようです。

 妻と一緒にお風呂に入っている時に息子は、手術の後遺症で残っている内出血を見て「ママ病気!」「ばんそうこう貼る!」というのだそうです。

 かわいいやつよ。入院を経て、ママをいたわる気持ちがようやく出てきたのかもしれません。

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