運動会の前日に「ちゃんと走れば速い」ことをクラスメートの一人に知ってもらえたから本番の出来はどうでもいいや
運動会は早朝出勤で観に行けなかったのですが、運動会の前日は会社が休みでした。
前日は、先生たちや高学年の子たちが準備やリハーサルをする関係から、息子を含む4年生以下の子たちは普段より1時間半ぐらい早く下校してきました。
さて、妻がパート勤務から帰ってきて息子をミュージックセラピーに連れていくまでの2時間近く、2人で何して過ごそうか。
天気がいいから近所の公園にでも連れて行ってストライダーをさせようとか思って自宅の玄関前をウロウロしていたら、通常クラスで同級生の女の子が声を掛けてくれました。
工事現場のコーンをホームセンターで買った日に話し掛けてくれた子です。
息子は支援学級に通っていて、通常級のクラスにも属している形になっているのです。
妻は以前から顔見知りだったようですが、ぼくはしゃべるのがこれが2回目で、家の場所も名字すら知りませんでした。
いつもより学校が終わるのが早くて、彼女もママが帰ってくるまでの時間を持て余していたようです。
結局、4時間ぐらい一緒に過ごすことになりました。
ドラッグストアへ買い物に行き、キックボード(息子はストライダー)で近所をぐるぐる回り、水道のホースで水遊びをし、玄関先でぶどうを食べ、庭の草むしりをし、キッチンでカルピスを飲み、家の前の道路で走る練習をし、どこかに遊びに出掛けたお姉ちゃんをみんなで探しに行きました。
息子はほぼ会話できず、途中で妻が加わってくれましたが、ぼくはこの子と4時間ずっとしゃべっていたことになります。
彼女はたぶん、小学3年生の中でもコミュ力が高い方なのでしょう。にしても、健常児はスゴい。高度な会話ができるんですね。
以下は、ドラッグストアに向かう時のやり取りです。
息子は、少しでも早く着いてドラッグストアの自動ドアで遊ぼうと全速力で走っていて、ぼくは彼女と一緒にゆっくり歩いています。
ほら、●●(息子の名前)って走るの速いでしょ。運動会や体育の時間には速く走らないのにね
なんで速く走らないの?
買い物とか遊びに行く時は速く走るんだけど、「速く走って」と言っても伝わらないんだよね。たぶん、「速い」というのがどういうものなのか、まだうまく理解できないんだと思う。
あー、なんとなく分かった
「速い」というのが分からないから、☆☆さん(息子が所属する支援学級の愛称)にいるんだね
なんて賢い子なのでしょう! こんな説明で理解してくれるとは驚きです。
ドラッグストアに行ったのは、「かにぱん」を買うためでした。
妻が子どもの頃によく食べていたそうで、息子も偏食があった2〜3歳の頃にハマって、最近また思い出したように執着するようになってきました。
へぇー、初めて見たー
走る練習した後に食べるんだ。かにぱんが好きだから、一生懸命走ってくれるんだよ
じゃあ、運動会の前に「速く走ったら、かにぱん食べていいよ」って言っておけば、きっと速く走ってくれるね
いいねー。そうするわ
明日の攻略法まで伝授してくれました。なんと頼もしい!
妻が帰ってきた後には、彼女も走る練習に付き合ってくれました。
2人並んでダッシュするとなんと、息子の方が速かったのには驚きました。ママと走っても負けません。
隣のおばあちゃんも応援してくれて、息子は上機嫌です。
こんなに速いんだから、リレーの選手にもなれるよ
明日もちゃんと走るといいんだけどねー
ちゃんと走った! かにぱん食べるー!
そして本番。新型コロナウイルス対策で入場制限がかかっていたのですが、妻はPTA役員として係が割り振られており、作業をしながら本部テントの「特等席」で観戦したそうです。
妻の総括では、息子は「ちゃんと走らなかったけど、全体的にはよく頑張った」とのことでした。
息子が参加する競技は、運動会が始まってすぐと終了間際の計2回で、途中でヒマを持て余して奇声を発したり騒いだりする恐れがあることから、「1回目の競技が終わったら息子だけ一人で教室に移動する」という対処策を事前に支援学級の担任の先生と妻で決めていました。
しかし、1回目の競技が終わってから担任の先生が「教室に戻る?」と尋ねたところ、「ここにいる」と答えたそうです。
そして、次の競技まで、通常級のクラスメートに混じってちゃんと応援していたそうです。
これには妻も大喜びで、「ちゃんと走れなかったけど、まあいいや」という気持ちになっていたそうです。
運動会が終わると、昨日の女の子が妻を見つけ、話し掛けてくれました。
昨日は遊んでくれてありがとう
こちらこそ、ありがとうね。楽しかったよ。また遊びに来てね
●●さん(息子の名前)に「運動会で速く走ったら、かにぱん食べていいよ」って言った?
あっ、忘れてた…
妻は、PTAの係のことで頭がいっぱいで、かにぱんについて息子に言うのを忘れていたそうです。
せっかくアドバイスまでもらえたのに、なんだか申し訳ないです。
次に会う機会があったら、ぼくからも謝っておこう。
息子が所属する通常級ではきっと、「●●さん(息子の名前)は本当は走るのが速いのに、かにぱんのことを●●さんのママが言い忘れたから運動会でちゃんと走らなかった」と伝わっていることでしょう。まあ、そういうことです。
来年の運動会ではしっかり走ることができるよう、1年越しに準備を進めていきます。
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