iPhoneカメラマン誕生

子どもと一緒に暮らしていく上で、スマホは非常に便利でありがたいアイテムです。

 例えば、家族3人で居酒屋で夕食&飲みをしていて、「もう1杯飲みたいんだけど、子どもがもう飽きてきて帰りたがっている感じだなぁ」という時、スマホを渡せば15分ぐらいは時間が持ちます。どれだけ助けられたことか…。

 「スマホに育児をさせるな」と説教する方もおられるでしょうし、「子どもには一切スマホもゲーム機も与えない」という教育方針のご家庭もあるでしょう。
 それはそれで、素晴らしい心掛けだと思います。

 わが息子に限っていえば、テレビ番組を5分と観ていられないほどの飽き性(内容を理解できていないからかもしれませんが)です。

 スマホであっても「10分以上も夢中で触っている。すごいね〜、成長したね〜、最高だね〜」ってなもので、重度自閉症児の親としては、もうそれだけでうれしいのです。

 長年スマホを持たせていると、遊び方に変化(進化?)がみられるようになりました。 

①テキトーにアイコンを押しまくる
②充電開始の音、カメラのシャッター音を鳴らし続ける
③YouTubeアプリを立ち上げ、テキトーに動画を再生する
④iTunesアプリを立ち上げ、テキトーに音楽をかける

 スマホって偉大です。飽きることがありません。

 ここまでが2歳から8歳半(ことしの6月)ぐらいまでの変化です。ここから劇的に興味の範囲が広がっていきました。

⑤自分が写っている写真&動画を繰り返し眺める
⑥ポーズを取って、「写真!」と言って撮影を求める
⑦自分で写真を撮影する

 以前はシャッター音を聞くのが目的でしたが、ここに来て、数枚撮影しては写りを確認するようになりました。
 手ブレやピンぼけも少しずつ減ってきました。

 彼が最近撮ったものをまとめてみました。

 ①は何をどのように撮ったのか不明で、②もなぜこんな色味になったのか分かりません。③はイスのクッションを接写したようです。
 ④は自撮りなのですが、随分とアップ気味で、どんな角度から撮るとこうなるのか。⑤は恐らく、LED電球を下から撮影したのでしょう。

 ⑥が一番最近撮ったもので、たまたま撮影時に居合わせました。

 ぼくが家庭菜園の様子を定期的に撮影しているのを見て、真似したのでしょう。
 スマホを被写体に近づけ、構図を意識して撮っているようにもみえました。かなりひいき目な評価ですが。

 妻によると、息子にお絵描きを教えてはいるけれど、障害ゆえの不器用さからか、なかなか上達しないそうです。
 文字は少しずつ「読める」形に書けるようになっていますが、絵は文字よりレベルが高いのかもしれません。

 そんな状況ですので、写真を撮影することは、彼が手っ取り早く自己表現をするのに役立ちそうです。

 アプリを消されたり設定変更されたりと「被害」もままあるのですが、まあ良しとします。

 息子が撮る写真に興味を持ったのは、大げさな言い方ですが、写真を「重度自閉症児である彼に世界がどのように見えているのかを第三者が知る手段」として使えないかなーという思いつきからでした。今のところ、テキトーにシャッタを押したら写ったという感じの写真が多いですが、「彼の目線の高さからだと、こんなふうに見えているんだ」「こんなものに興味があるのか」といった〝発見〟もあります。
 同じ空間にいても健常者とは違う風景が見えているはずなのですが、比較しようにも彼には健常者が見ている世界のことは分からないでしょうし、全く興味もないでしょうから、その違いを彼が言葉で表現することはできないわけです。見えている世界の違いについて、彼が撮った写真から何か手掛かりがつかめるといいなと期待しています。

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