息子の情熱的なアピールプレーと手を抜いた泣き真似を見ていると、「本当は空気を読めるんだけど普段はめんどくさがっているだけなのかも」と思えてくる
息子は「日常会話」「雑談」はできませんが、相手の言っていることはほぼ理解できます。
そして、言葉を使って自分の要求を通そうとする時には、ものすごく頑張ります。
ママー! なぁに? ママー! なぁに?(×10)
ママに注目してほしくて「ママー!」と呼んでみたけれど反応がない時によくやります。かなりやかましい。
一人二役を演じ、相手に求めている反応を提示しています。
自転車に乗りたい! 自転車に乗るかぁ? やったー!(×3)
こちらは「進化バージョン」で、1往復半のやり取りを一人で演じています。
顔を左右(カミ・シモ)に振って声色を使い分ければ、落語のようになるでしょう。
こんな息子とやり取りしていると、会話が成立しているように聞こえなくもありません。
ちなみに、こういう場合には、「今すぐ要求に応えられない理由」を丁寧に説明した上で、「どういう条件が揃えばOK」かを伝えます。
こんなふうに。
ママは今お友達にLINEを送っているから、終わったらお話を聞くね
これからママとお勉強して、終わったら自転車に乗るよ
理由を伝えないでその場で要求を聞き入れると、「繰り返し言いさえすれば要求が通る」という、ABA(応用行動分析)でいう「好ましくない強化」がされてしまうからです。
「一生しゃべれないかもしれない」と思っていた息子が、大声で叫んだり暴れたりではなく、つたないながらも言葉を使って情熱的に気持ち(要求)を伝えようとする姿は感動的ではありますが、それとこれは別です。
こうした「情熱的なアピールプレー」にはまだ、さらに進化した別バージョンがあります。
ちゃんと勉強した! いい子だった! 自転車に乗りたい!
体育がんばった! マスク食べなかった! お買い物に行きたい!
ママやぼくから条件提示されるのを見越して、「自分はこんなにいいことをした」と先にアピールし、「だからすぐに要求を通すべきだ」と主張してくるパターンです。
この手を使われると、「まあいいかな」って気になります。ただし、言っていることが本当であれば。
たまに虚偽報告が混じっています。
担任の先生が書いてくださる連絡ノートに「少し大声が出ました」と記述があるのに「静かに勉強した!」と主張したり、「お昼ごはんを静かに食べたらお出掛けするよ」と約束したのに、食事中に騒いだ上に「静かにご飯食べた! お出掛けする!」とうそぶいたり、などなど。
修正主義者(リビジョニスト)に屈するわけにはいきません。
で、「違うでしょ!」と指摘するのですが、悪びれることなく、今度は「過去に自分がやった『いいこと』」を挙げて要求を続けます。
虚偽報告はよくないことですが、こちらの反応をうかがって、言葉を変えながら迫ってくるのをみると、「これはこれでコミュニケーションの練習にいいかもしれない」と感心してしまいます。
虚偽というと、息子の「泣き真似」はかなりテキトーです。
就学前の頃、療育の際などに気が乗らないと泣くことが結構ありましたが、セラピストの先生が「●●(息子の名前)さんは演技派だよねー」と常々おっしゃっていて、かなり早い段階から泣き真似だと見破っていました。
今考えてみると、いやなことがあっても「いやだ」と言葉で伝えることができないから、その代わりに「泣き真似」という手段を取っていたのかもしれません。
自閉症児って、相手の気持ちや場の空気を読むのが苦手ですし、基本的に息子もそうなのですが、こういう場面に限っては、空気を読んで振る舞っているように見えます。
彼は、やればできるのか? めんどくさいから「空気を読めないふり」をしているだけなのか?
そういう要素も少しはあるような気がします。
はっきりしているのは、「けなげに頑張る障害児」というイメージには程遠いってことです。
これでは「24時間テレビ映え」しません。もう少し上手に世渡りしていってほしいものです。
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