クレーマー(モンスターペアレント)だと思われないように先生や学校、施設、役所の職員にうまく要望や意向を伝えるには

「クレーマーだと思われたかも」「クレーマーだと思われたくないのですが…」。障害があるお子さんを育てている保護者さんからこんな言葉を何度か聞いたことがあります。

 先生や学校、役所の対応について「おかしい」「直してほしい」と思っても、クレーマーだと思われるの怖くて言い出せないという方も多くおられると思います。

 相手(人や組織)に対する不満や「理不尽な扱いを受けている」という感情が溜まっていくとどうなるか。

 お子さんやご自身がさらに我慢を重ねて心身がさらにボロボロになっていくか、相手を「敵」とみなして感情を爆発させることで突破口を開こうと試みるかーいずれかに進んでいくことが予想されます。

 できれば、どちらも避けたい形です。生産性がありません。

 ぼくは教育・福祉の専門職でも公務員でもありませんが、学校の先生も含む公務員の方々と仕事で接する機会が多く、公務員の方々の「本音」をたくさん聞いてきました。

 妻は実家が自営業で、実家の店をはじめさまざまな業態の店舗で接客業を続けてきています。

 ぼくは、クレームを「言われる側」の心理に詳しく、妻はクレームを「言う側」の様子を現場で数多く目にし、対応もしてきました。

 クレーマーをめぐる話は、妻とぼくの日々の雑談ネタの一つでもあります。

 今回はそんな経験から、思うところを書いていきます。

 夫婦揃って「クレーマーに詳しい」という気になっていたのですが、そういえば、クレーマーという言葉の定義を知りませんでした。

 Wikipediaから引用します(蛍光マーカーは筆者)。

クレーム (クレイム、英語: claim) は、サービスに対する苦情や改善要求、契約あるいは法上の権利請求を指す外来語。最近の日本では損害賠償請求やごり押し等による不当な強迫要求や請求の意味で用いられる場合もある。
説教型や謝罪要求型、暴言型、暴行型のものが増加していて、クレームではなく、ハラスメントや脅迫と呼ぶべきとの声がある。

クレーム現象には多くの場合怒りが伴っている。社会心理学のカペンスとメックレンは怒りの生起に関わる主要な認知要素として、自尊心への脅威他者への責任帰属欲求不満を挙げている。

Wikipedia「クレーム」より

 学校に対するものですと「モンスターペアレント(モンペ)」という言葉もありましたので、こちらも。

モンスターペアレント、またはモンスターペアレンツとは、学校などに対して自己中心的かつ理不尽な要求をする親を意味する。
基本的には、直接教員にクレームを行うが、校長、教育委員会、地方公共団体より権限の強い部署にクレームを持ち込んで、間接的に現場の教員や学校に圧力をかけるという形式も増えている。

Wikipedia「モンスターペアレント」より

 どちらのページも非常に詳細な記述が並んでいて、ためになります。 

 読み比べてみると、「クレーマー」という言葉は、企業を相手にした犯罪まがいの不当要求を指すことが多いようです。

 細かいことですが、保護者さんたちが心配されていることは、「モンスターペアレントだと思われるのが怖い」という表現の方がより適切だといえます。

 そうした心配についても、Wikipediaに書いてありました。

要求を繰り返すことがあっても、当該の要求が常識の範囲内にあり、かつしかるべき理由を明示してくる場合は「モンスターペアレント」とは言わない。とはいえ、保護者が正当な要求をしても、学校や教員が保護者を「モンスターペアレント」として敵対視することがある。

Wikipedia「モンスターペアレント」より

 学校の先生や市役所の職員といった公務員の方と話していると、同じ人が何度も訪ねてきて大声で怒鳴り散らされたというエピソードがよく出てきます。

 もちろん、クレームを「言われる側」だけから聞いた話ですので、自らの過失には触れず相手方の「異常さ」を強調しているきらいはあるかもしれません。

 ただ、そこを割り引いたとしても、「それ、警察を呼んだ方がいいよ」「ぼくだったら心を病んでしまうな」と思ってしまうようなひどい話も多いです。

 公務員というと「身分が保証されたエリートで強者」と思われる方もおられるかもしれません。

 確かにそういう側面がなくはないですが、「オレは市民だ!」「税金払ってるんだ!」「私は保護者よ!」と大声でまくし立てられて罵詈雑言を浴びせかけられても、公務員の皆さんは立場上、「あなたの言っていることはおかしい」と言い返せず、相手の暴言をノーガードで受け止めるサンドバッグになるしかないーということも多いようです。

 こんなことが繰り返されては、どんな強い人でもメンタルがやられてしまいます。

 自らの身を、組織を守るために対策を講じるのは当然のことです。

 では、公務員から「クレーマー(モンスターペアレント)」とみなされて不当な敵対視をされないようにするにはどうしたらいいか。

①相手を「強者」だと思いすぎない
②相手の話もちゃんと聞く
③信頼できる人に同席してもらう

 ①は先ほど触れた通りでして、学校の先生や市町村の職員といった公務員には、理不尽なことを言われても言い返せずに我慢するしかない「弱者」という側面もあるのです。

 悪意から、何十年も前の個人的な恨みから、あるいは暇つぶしから、「公務員に嫌がらせしてやろう」という「有名クレーマー」はどこの役所にもいます。

 ですので、公務員の方は「話がある。用件はそちらに行ってから伝える」といった類のアポイントが入ると、不安で身構えてしまうのです。そうした心情を理解することは大切です。

 また、相手は「強者」なのだから何を言っても構わないーという心理にも陥りがちです。相手も同じ人間なのです。

 ②についてですが、「相手の話を聞かない人」ってなんか怖いですよね。

 「怒りのあまり大声で早口で何を言っているか分からない人」とも、あまりお近づきにはなりたくないでしょう。

 あえて相手の話を聞かないで感情をむき出しにしてまくし立てることで要求が通る場合もあるかもしれませんが、次回以降は相手方の警戒感がマックスになるでしょうし、信頼関係を築くことは二度とできなくなることは間違いないです。

 ただ、「話をちゃんと聞く」といっても、相手が話下手だったり行政用語などを使った難しい言い回しばかりして何を言っているのか分からない場合もあるかもしれません。

 いわゆる「お役所言葉」ばかり使う公務員は、わざと分かりにくい言葉を使ってこちらをけむに巻こうという意図があるか、単純にその人の説明能力が低いかーのいずれかだと考えていいと思います。

 相手はプロとして教育や行政をやっているわけです。
 専門的なことが分かっているのは当たり前で、専門外の人々にその内容をうまく説明できるかどうかも、プロとして求められる能力です。

 「自分の理解力が低いから相手の言っていることが分からないんだ」と卑屈になることなく、分からないことは何度も質問することが大事です。

 「相手の言うことを理解しようと努力している」という姿勢を示すことは、相手の警戒感を解くことにもつながるはずです。

 ③も無用なトラブルを避けるのに有効です。

 要求や指摘が正当なものかどうかを分ける物差しとして、「たまたまその場でやり取りを聞いていた第三者が『自分の言っていることの方がもっともだ』とジャッジしてくれるかどうか」ということを常に頭に置いておくと、過度に感情に走ることを防ぐことができると思います。

 気持ちに余裕がない時には、特に重要です。

 感情がたかぶって暴走するのを止めてくれるでしょうし、説明能力が低い相手方の主張をうまく「翻訳」もしてくれるでしょう。

 苦情や批判にとどまらず、「こうすればお互いにもっと良くなりますよ」と提案できればベスト

 ここに挙げた①〜③はいずれも、大したこと内容ではありません。
 「そんなことは分かっている」というツッコミも入るかもしれません。

 でも、怒りや不満でホットになっている時って、こういう「大したことない」ことを忘れてしまうことがあると思うんです。

 そういう発想から、大したひねりもないことを並べてみました。

 ただ、ここまで書いてきた話は、常識的でちゃんとした相手方と無益なトラブルを起こすことなく要望や意向を伝える際に気を付けるべきことでして、相手方が人格やモラルが破綻している(ように見える)「モンスター教師」「モンスター公務員」であることを想定しておりません。

「モンスター」への対処法については、次回以降にあらためて。

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