支援校の作品展を初めて見に行って思ったこと

「幸福のたけまたハンカチ」と題された作品
写真=全校生徒による「幸福のたけまたハンカチ」と題された作品。地域の方々からいただいたタマネギの皮を使って染めたそうです=2020年11月、新潟県新発田市

地元の特別支援学校(中学部・高等部)の作品展を妻と2人で見に行きました。
 小学部がある分校は、息子の就学前に何度か見学したことがあるのですが、本校には初めておじゃましました。

 分校よりさらに郊外(というか山あいの農村集落内)に立地しているため、「通うの大変だろうな」という漠然とした印象しかなかった(失礼!)のですが、校舎はとても立派な造りでした。

 校舎内も明るくて、生徒さんも先生もみなさん、妻とぼくに「こんにちは」とあいさつをしてくださり、活気が感じられました。地域との交流も盛んなようです。

 支援校の作品展については、家で流れていた地元のコミュニティーFMの番組で知りました。

 番組に出て作品展のPRをしていた支援校の生徒会長さんがとても堂々としていたのが心に残っています。
 うーん、息子はこんなに立派に話せる日が来るのだろうか…。

 いま小学3年生(支援級)の息子が、健常児でいう中学・高校生ぐらいの年齢になった時にどのぐらい「発達」しているのか、全く想像ができません。

 うちの息子に限らず、障害がある子どもの場合、障害の種類や軽重、複合しているかどうか、性格、生育環境などなど、多様な要素が働くでしょうから、他のお子さんの「発達の歩み」から、わが子の将来の成長具合を想像することは難しいと思います。

 なのですが、この作品展は、中学部・高等部の「先輩たち」が日々、支援校でどんなことを学び、取り組んでいるかを知る貴重な機会となりました。

 一番興味深かったのは、中学部の平面作品「コラージュ」でした。

「わたしたちの未来のまち」と題された中学部の作品
写真=「わたしたちの未来の町」と題された中学部の立体作品。廃材を利用しています。

 テーマを決めて新聞や雑誌、チラシなどから写真や活字を切り取り、一枚の紙に貼り付けているとのことで、そのお子さんは何が好きで、どんなことに関心があるのかが垣間みえます。

 「テレビの番組表1カ月分+カレンダー」「戦隊ヒーロー+プロレスラー」「プロ野球+高校野球」「アニメキャラ+女性モデル」「女性アイドルグループ」「ケンタッキーフライドチキン+ラーメン+軽トラック」などなど。

 「個性の塊」ともいえる作品が勢ぞろいな中、最も目を引いたのが「イケメンと肉」!
 イケメン3人の写真の間に牛ロースや豚バラ、唐揚げなどが散りばめられていました。この組み合せは、ぼくの想像力のはるか上でした。

●●(息子の名前)がこれをやったら、どんなのを作るのかなぁ

今やったとしたら、「自動ドア+シャッター+自分の写真」の組み合わせだろうね

 現在のわが息子と比べ、中学部の生徒さんたちは「外の世界」にちゃんと目を向けていることが分かります。
 「視野を広げる」ことが中期的な課題だと気付かされました。

 息子の場合、肉より魚の方が好きですので、「美女と魚」というコラージュをいずれ作る可能性もありそうです。

「写真」展示の紹介文
写真=高等部1年の「写真」展示の紹介文

 高等部1年の「写真」展示も面白かったです。

 入学たばかりの生徒に学校生活で目にしたものを切り取ってもらうーという発想がいいですね。

 息子はぼくのスマホを奪って写真を撮りまくるのがマイブームで、写真の整理が面倒だったりアプリが消されたりと面倒なこともいろいろあるのですが、基本的には放っておいています。

 自分の気持ちを言葉で伝えることに困難がある息子が撮る写真を眺めることで、この世界が彼にはどのように見えていて、どんなもの・ことに興味があるのかを推測するヒントになるかもしれないと考えるからです。

高等部3年生の作品「ランプシェード」

写真=高等部3年の作品「ランプシェード」。さすが最高学年、レベルが高いです。

 この「写真」展示を発案された先生もたぶん、同じような発想だったのではと想像しました。

 校庭や学校周辺の自然を捉えたもののほか、階段の手すりの接写に「希望の階段」、廊下を歩く仲間たちの後ろ姿に「共に」というタイトルを付けていたりと個性がにじんでいて、味わい深かったです。

 「作業製品販売」のコーナーもありました。こうした活動は、卒業後の「お仕事」も見据えてのことなのでしょう。
 新型コロナウイルスの感染防止対策からか、対面販売でなかったのが残念でした。

 全ての展示から、生徒さんたちの頑張りとともに、先生方の専門的かつ熱心な指導ぶりが伝わってきました。さすが支援校。

 作品展の開催が平日でしたので、息子を連れて行くことはできなかったのですが、いずれは学校を休ませてでも一緒に見に行こうと思いました。
 いずれ、この支援校のお世話になる日が来るはずですので。

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