息子に優しくしてくれた女の子たちが中学でも楽しく過ごしていますように

 支援校中等部への登下校はバスのため(しつこい)、4月上旬の入学式以来、一度も学校に顔を出しておりません。

 妻は先日、保護者面談で行ってきましたが、近所の小学校に通っていた6年間はずっと妻かぼくが一緒に登下校していたこともあり、当時とのギャップが大きくていまだに不思議な感覚です。

 小学生の頃は、妻が5年間ずっとPTA役員をやり、図書館ボランティアを続けていたことから、学校とは極めて濃密な付き合いで、ぼくもそれなりに顔が知られていたようです。

 ぼくは夜勤を含むローテ勤務のため、平日休みのことも多く、平日に登下校の付き添いをし、2人でサイクリングをしている姿をみた保護者の方や児童には「あのパパは無職で暇なのだろう」と思われていたことでしょう。

 妻の戦略的な努力のかいもあって、わが家に遊びに来てくれた児童もいました。

 息子は言葉を使って一方的に要望を伝えることはできても会話(言語を使った気持ちのやり取り)はできないため、妻(おまけでぼく)に会いに来る形です。

 われわれはすごくうれしくて大歓迎なのですが、息子からしたら、同じぐらいの年の子どもが来ると「親が取られて構ってくれない」という不満を抱くようで、その辺のバランスがなかなか難しかったです。

 今回はそんな思い出を。

 一番よく来てくれたのが、息子の健常児クラスのクラスメートさんでした。

 ぼくが最初に会ったのは、彼女と息子が小4の頃で、下校中の彼女が自宅の門の前にいたぼくに話し掛けてきました。

 妻とは少し前から面識があったようですが、その時息子と妻は出掛けていて、家にはぼく一人でした。

 人懐っこく話し掛けてきた初対面の女児と2人という不思議なシチュエーションに戸惑いましたが、天気も良かったので、玄関を開け放っておやつと飲み物を玄関先に持ってきて一緒に食べ、学校であったことを聞き、庭を案内し、物置を探検しました。

 1時間ぐらいすると妻と息子が帰ってきたのでバトンタッチしましたが、時間が経つのが長いのなんの。

 ぼくは子どもから好かれるようで、男の子は小6まで、女の子でも小4までなら無条件に寄ってくる傾向があるのですが、それでもやはり緊張しました。

 しゃべるのがゆっくりな、おっとりした感じの子なのですが、ぼくはクラスメートの父親とはいえ初対面のオッサンなわけで、自分から話し掛けてくるコミュ力の高さに驚くばかりでした。ぼくが小4の時に、そんなことはできなかった。

 それ以来、さんは週1、2回のペースで家に遊びに来るようになりました。断続的に1年ぐらい続いたでしょうか。

 学校が終わってから夕食までの時間は、支援級の先生が持たせてくれる宿題を終わらせ、妻がABA(応用行動分析)の家庭療育をやっていました。

 お友達の来訪とどう両立させようか試行錯誤の末、さんにABAのお手伝いをお願いすることにしました。

 息子のプリントをマル付けをし、一緒にカルタをし、一緒におやつを食べ、自転車と徒歩で近所を散歩し、暗くなったらみんなでさんを家まで送る、というパターンが確立されてきました。

 クラスメートの来訪に最初は落ち着かない様子だった息子も、だんだん慣れてきて、調子に乗るようになりました。ある日、おやつの時間に、息子がふざけて寝転びながらお菓子を食べていると、

寝ながら食べちゃダメなんだよ~

……

 注意されてかなりビックリしていました。親、あるいは大人から注意されることはあっても、クラスメートからこんなふうに注意されるのはたぶん初めてで、貴重な経験となりました。

 本人にとってもかなりインパクトがあった出来事だったようで、以来、息子がふざけると「さんに言いつけるよ!」と言うようにしてます。結構効果があります。

 もう一人、思い出深いのは、息子の1学年上のさんです。

 彼女が家に遊びに来たのは1回だけですが、インパクトが強く、息子の登下校の付き添いで歩いているぼくを見つけると近づいてきて、いろんなことを話してくれました。

 妻とはアニメや漫画の話をしていたようですが、ぼくはその辺は詳しくないので、最近の出来事みたいな雑談でした。

 さんの一人称は「オレ」でした。一人称で「ぼく」を使う女の子「ぼくっ子」の存在は知っていましたが、「オレっ子」も実在するとは…。

 下校中に駆け寄ってきた時、さんが裸足だったことがありました。

ねぇ、なんで裸足なの?

オレさぁ、いま裸足がマイブームでさぁ、気持ちいいんよだね、裸足

 「経済的理由かネグレクトで靴を履かせてもらえない可能性もあるのかも」と一瞬思いましたが、真新しいブランドもののスニーカーを手に持っていました。その格好で、すれ違う同級生の男の子に「おぅ!」とかあいさつしてて、男の子たちも不思議に思っているふうではありませんでした。

 その2カ月後、下校で一緒になった時には、ちゃんと靴を履いていました。

靴履いているんだね。マイブームは終わったの?

ホントは裸足がいいんだけど、親に怒られちゃったんだわ~

 豪快に笑っていました。隣にいた息子も、たぶんやり取りの意味は分かってないと思いますが、ニコニコと笑っていました。

 2人とも、息子が健常児だったら入っていたであろう地域の中学校に進学しました。女子は、男子より精神的な成長が早く、それゆえ人間関係も複雑だと思われます。

 あの優しくて魅力的で個性的な2人が、どうか、うまくやっていますように。

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