障害児が「ひとりっ子」であることについて〜「重度自閉症児と暮らす日常」を記録し続けて思ったこと③

 普段はあまり意識していなかったのですが、われわれ家族の周囲におられる障害があるお子さんを育てているファミリーの多くは、きょうだいがいます。
 うちのような「ひとりっ子」は少ないです。

 息子には、きょうだいがいないだけでなく、友達もいません。息子が学校以外で接する人はほぼ全員が大人です。
 同世代の子どもと心を通わせて同じ空間で楽しみながら時間を過ごすことができないので、仕方ないのですが。

 それでも、支援学級の1年生の時から同じクラスの男の子とはいいコンビに見えますし、通常級の同級生たちや近所の大人たちが息子のことを気にかけて、声を掛けてくれます。

 今のところ、それで十分かなと思っています。
 今後の精神的な成長に伴って、「友達っぽい」同世代の子ができればいいなと。

 強いて言えば、息子は、とと(ぼく)のことを保護者兼友達とみなしているような気もします。
 ママ(妻)は友だちって感じではなく、たぶん保護者兼セラピストという位置付けなのでしょう。

 しかし息子よ、ととは君よりだいぶ年上なので先に死んでしまうのです。
 トシの近い友だちも探してくれ。それが異性でカノジョだったらなおよし。 

 息子に自閉症との診断名が付いた6年半前、障害のことを話すと、「きょうだいがいた方がいいよ」と助言してくださる人が何人かいました。

 ぼくも妻も死んでしまえば、障害を抱えた息子は天涯孤独になってしまう。
 弟なり妹なりがいれば、心強いし支えになってくれるかもしれない。

 たぶん、こういうことなのでしょう。われわれ家族のことを親身になって考えてくださっているのはよく分かりました

 しかし、妻とぼくは、息子を「ひとりっ子」として育てることを選びました。

 障害がある息子一人を育てるだけでも「いっぱいいっぱい」で手が回らないのに、もう一人増えるって無理に決まってるだろーという共通認識からでした。

 息子が4〜5歳の頃、地道な家庭療育の成果からか少しずつ「できること」は増えてはきていましたが、発語が全くみられず、トイレトレーニングも一進一退が続いた時期がありました。

 「息子は一生しゃべれないのではないか」「ずっとオムツが外れないのではないか」と悩んでいました。

 そんな時期、あるママ友さんが

「子育てはひとりっ子の方が大変なのよ」

と妻に声を掛けて慰めてくださったそうです。

 そのママ友さんは妻と同い年で、お子さんは6人いて、うち1人に障害があって、三つの仕事を掛け持ちし、夫婦関係は非常に円満ーというスゴい方だそうです。

 その方が言うには、

「最初の子どもの時が一番大変だった。経験がなくて初めてのことばっかりだったので。子どもが増えてきたら、だんだんラクになってきた」

とのこと。妻は当時、その言葉を心の支えとしていたそうです。

 3人のお子さんを育てているご家庭に比べ、ひとりっ子の家庭は子育てにかかる労力が3分の1で済むかというと、そういう単純なものではないはずです。
 むしろ1人の子どもに四六時中関わっている方が気持ちの切り替えができず閉塞感を抱きやすいはずで、「ひとりっ子だから子育てがラク」ということでは決してないのです。

 そうは思っていましたが、先のママ友さんのような経験豊富な方におっしゃっていただけるのは、本当にうれしかったです。妻やぼくが想像で言うのとは重みが違います。

 あと、定型発達(いわゆる「健常」)のお子さんを育てるのが、障害があるお子さんを育てるよりラクかというと、一概にそうは言えないとも思っております。

 診断名が付かなくても「育てにくい」お子さんはいるでしょうし、単純に「お子さんの人数」「診断名の有無」によって保護者の方の「しんどさ指数」が決まるものではないはずです。

 とはいえ、複数のお子さんを育てているママさんはやはり、パワフルでたくましく見えます。
 きょうだいがいるご家庭を「いいなぁ」と思うこともあります。

 ただ、これまたそう単純ではなく、きょうだいがいるご家庭には、それゆえの苦労があることも、ママ友さんたちのお話をうかがっていると見えてきます。

 障害がある子どもを相手する時間の方が長くなると、定型発達(健常)のお子さんの方が「放っておかれている感」を抱いてしまうという難しさがあるようです。

 これはぼくの数少ない経験に基づく主観ですが、障害があるお子さんのごきょうだいは「大人びていて遠慮深くて優しい子」が多いような気がします。

 ですので、障害があるお子さんのごきょうだいが騒いだり、はしゃいだり、ふざけたりしているのをみると、「もっとやれぇ〜!」とうれしくなります。

 こんなふうに考えるのは、ひとりっ子障害児の親だからなのでしょう。無責任ですみません。


 いつもこのブログを読んで感想をお寄せくださる方から、紹介していただいた文章があります。

 作家の岸田奈美さんがnoteに掲載していた「思い込みの呪いと、4000字の魔法」と題した作品です。

 この作品の一部を要約してご紹介しよう少し考えたのですが、どの部分を切り取ればうまく伝わるのか分からなくなったので、切り取るのはやめます。
 ご興味を持たれた方は全文をお読みください。

 代わりに岸田さんのnoteの自己紹介を引用します。

28歳の作家。100文字で済むことを2000文字で伝える。車いすユーザーの母、ダウン症の弟、亡くなった父の話など。講談社・小説現代 連載、文藝春秋2020年1月号巻頭随筆 執筆。コルク所属。 Official WEB→https://kishidanami.com/

note「岸田奈美」より

 ご紹介いただいた時から「聞いたことがある名前だなぁ」と思っていたのですが、ぼくがだいぶ前にTwitterでフォローしていた方でした。
 作家であることもnoteをやっていることも知りませんでした。

 こんなツイートを過去に保存していたのに気づきました。

 画像によるとツイートは2020年2月9日ですから、新型コロナウイルスで大騒ぎになる前ですね。
 そんな大昔のこと、全く覚えていませんでした。

 ひとりっ子だろうが、きょうだいがいようが、障害があろうがなかろうが、「いろいろ」なんですね。そんな当たり前なことが再確認できました。

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