重度自閉症児に留守番をしてもらっても大丈夫な場合、絶対にダメな場合

1年ぐらい前から、息子に10分ぐらいのお留守番をしてもらえるようになりました。

 画期的なことです。

 例えば、ぼくが早朝出勤で午前5時台の電車に乗らなければならなくて、妻に駅まで送ってもらう時。

 息子は一緒に車に乗って「お見送り」をしてくれるのですが、眠い時は「るすばんこする!」と言って、家でお布団に入ったまま待っていてくれます。

 以前は、車で家を出る時間を逆算して早い時間に息子を起こすか、寝ぼけた息子を無理やり車に乗せるかしていました。

 短時間であろうとも自分一人を置いて両親が家を出ることは許容できなかったでしょうし、ぐっすり寝ているからと思って妻とぼくがこっそり家を出て、目を覚ましてしまったら、泣き叫びならが家を飛び出す可能性もありましたし。

 また、一緒に買い物に行った後に、買い忘れがあってもう一度店に行かなければならない時。

 さっきの買い物で、鮭ほぐしの瓶詰め、ヨーグルト、チップスターなど「自分が欲しいもの」を既に入手できている場合には、「るすばんこする!」と言って自発的に家に留まってくれます。

 現金なものです。

 これら二つが代表的なケースなのですが、いずれも「留守番して!」とお願い(命令)するのではなく、「留守番する?」と本人の意思を確認して尊重することが重要だと思っています。

 もう一つは、「言った通り必ず戻ってくる」という信頼感・安心感を築くことも大事です。

 息子はうまくしゃべれない分、「相手は約束を守ってくれるのか」という人間関係面に敏感なのではと思っていて、健常児を相手にする時以上にウソを言ったりごまかしたりしてはいけないーと心掛けております。

 そんなふうに立派に成長した彼なのですが、なぜか留守番のことを「るすばんこ」と言い続けています。

 かわいい言い間違いですので現状ではスルーしているのですが、年齢が2桁になることしの12月までには修正させようと思っております。

 あと、真冬の日中は、危険ですので「るすばんこ」をお願いしていません。

 真冬でも、朝方であれば布団に潜り込んでいれば寒さをしのげるので問題ないのですが、日中は火事を起こす危険がゼロではないため、避けています。

 療育の成果からか、息子はファンヒーターや石油ストーブ、ガスコンロといった火がつく機器のスイッチは触りません。

 ただ、過信は禁物で、エアコンの暖房を付けていたとしても、エアコンの温風だけでは寒さがしのげないと息子が思った時、「ファンヒーターのスイッチをいれる」という禁を破る可能性は否定できません。

 そして、ファンヒーターの前に服や紙類を置き、過熱して燃えてしまうかもしれません。

 裏を返せば、真冬以外であれば、短時間なら問題なく留守番をお願いすることができます。

 と思って喜んでいたのですが、ぼくが夜勤でいなかった日に困ったことがあったそうです。

 ぼくがいない日は妻が先にお風呂に入り、息子は気が向いたタイミングで入ってきて、一緒に出るーというパターンが多いらしいのですが、そんなある日、妻がお風呂に入っている時に玄関の呼び鈴が鳴って、息子がカギを開けてしまったのだそうです。

 で、息子が玄関で誰かに話し掛けられているのが聞こえ、妻が大声で尋ねると、宅配便の配達に来られた方とのこと。

 受け取りの紙とペンをお風呂場に持ってきた息子に、紙にサインをして渡すと、息子は宅配便の方に返さず、そのまま居間に戻ってしまったそうです。

 それで、妻がまた大声を張り上げて息子し指示をして何とか収まったそうですが、かなり面倒な状況だったようです。

 回覧板や配布物を持ってこられるご近所さんであれば、息子の障害のことも知っていますので何ら問題はありません。

 いつも配達に来られる郵便局の方は、息子の障害のことは話していませんが、「察して」くださっているようですので、うまく相手をしてくれるでしょう。

 問題は、息子の特性をご存知ない「一見さん」の訪問者なんです。

 息子としては、呼び鈴が鳴ったら両親が玄関のドアを開けるのをいつも見ているので、同じようにしているつもりなのでしょうが、会話ができないですからね。

 息子は相手の言っていることはほぼ理解できていると思うのですが、いかんせん発語があいまいですので、相手方としては「ちゃんと言ったことが伝わっているだろうか」と不安になるはずです。

 ただ、これは、しつこい押し売りや新興宗教の勧誘の際には役立ちそうです。

 こんなふうに丁重にお答えしようと思っております。

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