ひいおばあちゃんがお別れを言いに来た?
妻のお祖母が先日亡くなりました。98歳ですので、大往生です。
自宅で転倒して骨折してここ2〜3年は老人ホームと病院を行ったり来たりでしたが、それまでは、妻が息子を連れてほぼ毎週、会いに行っていました。
ぼくも何度か同行したことがあります。息子は、お祖母さんが出してくれる「じゃがりこ」やオレンジジュース、ヨーグルトなどを飲んで食べて、とてもご機嫌でした。
妻は、お祖母さんの昔話を時間が許す限り聞いていました。
いわゆる「傾聴ボランティア」といった感じでは全くなく、妻が時系列に細かく質問していって、お祖母さんが記憶を辿って答えるといった、ロングインタビューみたいな形式でした。
妻から少し聞いたことがありますが、劇画の原作になりそうな、波乱万丈の人生だったようです。
お祖母さんの前でABA(応用行動分析)による療育を実演するのも恒例だったようで、そんな姿をいつも満面の笑みで眺めていたとのことです。穏やかで優しくてオシャレな女性でした。
一番最後に会ったのは、息子とぼくは3年前ぐらい。1年半前に家族3人で老人ホームへお見舞いに行ったのですが、新型コロナウイルス対策で子どもは施設内に入ることができず、この時に面会できたのは妻だけでした。
その後は、「少し状態が落ち着いて老人ホームに戻った」「最近は病院に移った」といった近況を半年に1回ぐらい妻から聞くぐらいでした。
そんな中、息子が最近、「おばあちゃん」と唐突に言い出したのです。
息子は、ぼくの母親のことは「ババ」と呼んでおり、「おばあちゃん」という呼称は妻の祖母にしか使いません。
わが家でお祖母さんのことが話題になるのは、かなり久しぶりでした。
「おばあちゃんの体調が安定して、コロナが落ち着いたら、息子と会わせたいね」と妻と言い合い、息子にも「おばあちゃんに会いに行こうね」と話した2日後に届いた訃報でした。
妻とぼくは、いわゆる霊感は全くなく、スピリチュアルなものに対する興味・関心はまるでありません。
息子も感受性がそれほど鋭いようには見えません。
よく言えば、情緒が安定していて「分かりやすい」「育てやすい」タイプだと思います。
家でねんねしている時、お布団の部屋におばあちゃんが来た?
来た!
おばあちゃん、なにかしゃべっていた?
しゃべっていた〜!
どんなことをしゃべったの?
分からない!
本人に聞いてもこんな感じで要領を得ませんし、当てにもならない感じです。
ただ、質問の仕方をいろいろと変えても、「おばあちゃんが来た」という主張だけは変わりませんでした。
通夜と葬儀では、騒いだり大声を出したりすることはなく、立派なものでした。
出棺前の最後のお別れの時には、「いままでありがとう さようなら」と記した手紙を枕元で読み上げ、毎週会いに行っていた頃の写真数枚と「じゃがりこ」とともに、棺に納めました。
彼は、「人の死」についてまだ理解できておらず、「おばあちゃんが死んで燃やされて骨になってしまった」ということを悲しんているふうはありません。
ただ、「小さい頃におばあちゃんと一緒にいて楽しかった」ということは、記憶は残っているようです。
彼は「おばあちゃんとまた会える」と思っているのかもしれません。そして、本当に会えるのかもしれません。
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