髪を切るにも一苦労
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で4カ月近く、髪を切りに行けない時期がありました。
われわれ家族が暮らす新潟県新発田市はまだ感染者が確認されておらず(7月7日現在)、新潟県が休業要請を出していた際も美容院は対象に含まれていなかったので、行こうと思えば行けました。
ただ、ネットの記事か何かで「感染が怖いので出勤したくない」という首都圏の美容師さんの声が紹介されているのを読んだこともあって、「お店に迷惑掛けるかな」と思って自粛していました。
そんな頃、家の前で近所の女の子に話し掛けられました。
こんにちは〜
あっ、髪切ったんだね〜
うん。ねえ、髪が長くなってるけど、わざと伸ばしているの?
そういうわけじゃないけど、なかなか髪を切りに行けなくてさぁ
コロナだもんね、大変だよね〜
彼女は息子の1歳年下で、小学校2年生です。よく知っているとはいえ、近所のアラフィフのオッサンと互角に雑談ができるコミュ力の高さに感心するばかりです。
妻も僕も、常に息子と一緒にいるため、「●歳の健常児はこんなことができる」ということを忘れがちで、健常児と接するといつも新鮮な驚きがあります。
息子は今月で8歳7カ月になりますが、一度も髪を切りに行ったことがありません。
「美容院で髪を切る」をかなり前から目標に掲げていますが、実現の見通しは立っていません。
自閉症の子って特定の触覚に敏感な場合が多いと聞きますが、ラッキなーなことに、息子はそういうものは少なかったです。
1歳前後の頃、靴を履いて外で歩くことができず、3、4歳の頃は粘土に触るのを極度に嫌がっていた時期はありましたが、いずれもそれほど苦労することもなく克服しました。
しかし、髪を切られることは一貫して極度に嫌がります。髪を触られたりシャンプーしたりするのは問題ないのですが、不思議なものです。
自閉症との診断を受け、つみきの会でABA(応用行動分析)を学ぶ前には、息子の髪を切る際、妻が馬乗りになって力ずくで両肩を押さえつけていました。
息子は泣き叫んでもがき、切り終える頃には汗びっしょりになります。
これは妻も息子も双方辛い思いをするので、息子が寝た後に髪を切るという手も使いました。これは今でもやっています。
布団や枕の上に散らかった髪の毛はクイックルワイパーで取ります。
息子の眠りが深いときはいいのですが、眠りが浅いとハサミを一回入れるだけでぐずり始めて終了してしまいます。
最後まで起きなくても、暗くて見えにくいし、寝転んでいるのでどう切ればいいかよく分からないし、寝返りを打つしで、非常に大変そうです。
10年ぐらい前だと記憶していますが、インドかバングラデシュあたりの南アジアの女性の話で、髪を洗うだけでも痛くて、髪を切ろうものなら激痛が走って血が流れ、病院で調べてみたら髪の毛一本一本に血管が通っていたーという記事をネットで読みました。
この文章を書くにあたり、いろんな検索ワードでググってみたのですが、薄っぺらい内容の広告系ブログばかり引っかかり、目的の記事にはたどり着けませんでした。残念です。
というわけで、今や真偽は確かめられないのですが、髪を切るのを極度に嫌がる息子をみて、「髪に血管が通っているのかもしれない」と思った時期もありました。いや冗談ではなく本気で。
そんな中、妻はABAの手法を使った画期的な散髪法を編み出し、昨年1月から実践しております。
ちょうどこの頃から息子は、夕食後に「デザート」としてフルーツゼリーと「じゃがりこ」を食べるようになりました。
買い置きがなければないで別に平気なのですが、ABAでいう「強化子」がないことから食をダラダラ食べる傾向にあります。
買い置きがあれば、それらを早く食べたいがために、夕食をキビキビと片付けます。
そして、夕食を終えて、フルーツゼリー&じゃがりこに移行するタイミングで、髪の毛に5回、ハサミを入れるのです。
最初の頃は、ハサミを入れるたびに小さな叫び声を上げて嫌がっていて、「やっぱり髪の毛に神経が通っているのか?」と疑いました。
しかし、慣れてくると早く食べたいがために自分からハサミを持ってくるようになりました。
なんだ、痛くなかったのか。アピールプレーだったのか。ネイマールか。
ただ、毎日ハサミ5回分ではなかなか髪型が決まらなくて、
また変な髪型になっちゃった。ごめんね。せっかくのイケメンが台無しだね
と、妻が嘆くことも多いです。「イケメン」というのは単なる親バカ発言ですのでスルーしてください。
本当は妻やぼくがお世話になっている美容院で一緒に切ってもらいたいのですが、まだ先のことになりそうです。
BUZZmagというサイトで、「散髪が大嫌いな自閉症の男の子。美容師の『優しい作戦』が大成功をもたらす」という記事を見つけました。
イギリスの4歳の男の子が美容院のイスに座るのを嫌がるので、美容師さんが一緒に床に寝転んで散髪してくれたーという話です。
息子の場合、この方法ではダメそうですが、何か別の工夫すればカットしてもらえるかもしれません。
どんな工夫をすればいいのかノーアイデアですが、そのうち考えてみます、優先順位が低い課題ではありますが。
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