支援校ではなく支援級を選んだ時に「あきらめたこと」と「期待したこと」
息子が自宅近くの小学校の支援学級に通い始めて丸3年となります。
学校に行くのを嫌がることが一度もなく、幸いにも(?)ぼくの転勤もなく、大きなトラブルもなく平穏に過ごしてきました。
学校への送り迎えで支援級のお子さんを見掛けた中、ざっとみた感じでは、息子はコミュニケーション面で支援級の児童の中で一番困難を抱えているのではないかと思われます。
知的障害のレベルからみても、一番重いのかなぁという気がします。
そんな息子に親身になっていろんなことを教えてくださる先生方、学校のスタッフの皆さま、優しく声を掛けてくれる通常級のお子さんたちには感謝しかありません。
3月も中旬となると、新年度(4月)から支援級あるいは支援校への入学が決まっている新1年生もおられるでしょうし、通常級⇄支援級、支援級⇄支援校と、お子さんの居場所を変更した方もおられるでしょう。不安な時期です。
就学を控えた障害児の親にとって、支援校にするか支援級にするかというのは、非常に大きな決断が求められます。
わが家もそうですし、就学前に息子が通っていた障害児向け幼稚園で一緒だった保護者さんもみんな、悩み抜いた上で「進路」を決断し、今に至っています。
これまでにいろんな保護者さんから聞いた話を総合すると、地元の教育委員会と就学先を話し合うと、
①ほぼすべての保護者に支援学校を勧めてくる
②しかし、最終的には親の意向が通る
うちも含め、周囲の皆さんはみんなこんな感じだったとのことです。
教育委員会を管轄する市区町村によって雰囲気が違うのかもしれませんが、少なくとも新潟県新発田市教育委員会はしっかりと対応してくださいました。
押し付けてきたり強権的だったりと感じたことはありませんでした。
「昔と違って親の意向が通りやすくなった」と聞いたこともあります。ありがたいことです。
わが家の場合、息子を支援級に就学させようと決めたのは妻です。
息子が2歳1カ月の時に「つみきの会」に入り、妻はABA(応用行動分析)に基づく家庭療育をずっと続けてきており、ぼくの役割は、そんな妻を「支援する」ことです。
就学先をめぐる妻の方針ははっきりしていました。
①小学生の段階では、学区内の児童や地域コミュニティーと触れ合う場が多い支援級が望ましい
②学校にABA療育をあまり期待しない
③就学前にトイレトレーニングが終了すれば支援級、終わらなければ支援校
就学先を決める年長組の秋ぐらいまでにトイレトレーニングがだいたい終了したため、妻は支援級を希望すると教育委員会に伝え、通りました。
「学校にABA療育をあまり期待しない」という方針は、妻が「つみきの会」の集まりで聞いてきた助言が基になっております。
当たり前ですが、学校の先生といっても、経験年数や知識、性格の合う合わないも含めて、いろんな方がおられます。
不当な扱いを受けているのであれば改善に向けて声を上げるべきですし、自分のお子さんに向いていない教育(療育)方針だなと思えばその場で話し合えばいいわけです。
つみきの会で聞いた助言は、「相手(学校側)にお任せではなく、保護者兼セラピストであるあなたが主体的に子どもと関わっていった方がいい」という趣旨だと受け止めています。
で、実際に、息子が通う支援級はどうなのか。
まず、担任の先生が毎年替わっています。新年度にまた替わると、息子の担任は4人目となります。
担任が毎年替わることをよく思わない親御さんもおられるかもしれません。
さらに、支援級を受け持つのが初めてという先生ばかりで、先生から「不安な感じ」が伝わってきます。
想像はつきます。一クラス30人ぐらいの児童をまとめて相手にしてきた中堅・ベテランの先生といえども、一クラス数人とはいえ支援級を受け持つのはしんどいはずです。
自分を支援級の担任にすることを決めた人事権者(校長?教育委員会?)を恨みがましく思っているかもしれません。
ただ、これまでに息子の担任をされた3人の先生の本音は分かりませんが、皆さん熱心に息子と向き合ってくださいました。
「ABA的にはこういう対応をしていただければ効果的です」といった妻からの「お願い」にも、しっかり耳を傾けていただきました。
担任の先生と学校に、これ以上望むことはありません。
「学区内の児童や地域コミュニティーと触れ合う」という点では、当初期待していた以上のものがあります。
同級生が頻繁に家に遊びに来てくれるようになるとは思いもつきませんでした。
われわれ家族は、就学時に支援級を選んで良かったと思っております。
ただ、これは仕方ないことですが、学年が上がるにつれ、健常児の同級生と息子の「発達の差」はますます広がっていきます。
彼の将来を考えた時に、どのタイミングで支援校(より専門的な療育機関)に移るのがいいのか、考え始める時期になったのかもしれません。
悩みは尽きません。
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